日本アクセス2022年3月期決算、実質4.9%増収で過去最高益、売上・収益が食品卸で首位に

日本アクセス2021年度連結商品群別・業態別売上高
〈好調のSM・GMS・DRG取組強化と不調のCVS・外食での収益改善が寄与〉
日本アクセスが5月23日、発表した2021年度(2022年3月期)連結業績は、売上高が前年比1.3%減2兆1,203億円、経常利益が33.7%増239億円、純利益が67.8%増163億円と減収増益となった。

今期より「収益認識に関する会計基準」を適用したことで売上高に△1,312億円の影響があり、同基準適用前(旧基準)での売上高は前年比4.9%増2兆2,515億円と、実質では増収だった。5月26日、東京・西品川の本社で決算会見を開き、佐々木淳一社長らが業績などについて説明した。 

佐々木社長は業績について「巣ごもり需要を背景に取組強化を行い、SM(スーパーマーケット)・GMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)・DRG(ドラッグストア)業態が好調に推移し売上拡大ができた。一方、CVS(コンビニエンスストア)・外食チェーンは売上が伸びない中、収益改善およびコスト削減を中心に業績が回復したことで、過去最高益を達成し、売上高・経常利益が食品卸で首位に立った」とまとめた。

売上が首位に立ったことについては「長年、卸は規模をベースにしたビジネスモデルだったが、一番重要なのは利益をどう積み上げるかだ。収益認識に関する会計基準の影響もありNo.1に立てたのは良かったが、中身が重要だ」など話した。

佐々木社長はコロナ禍の経営環境を振り返り「20年度・21年度とコロナ影響で経営環境が激変し、消費構造や事業環境の変化に早期対応し、業務改革の断行と事業モデルの変革を推進した。経営基盤の再構築と岩沼(物流センター)火災の整備など、収益の安定性および持続的な成長に向け、顕在化した経営課題を先送りせず、解決を最優先した2カ年として経営計画を策定した。2021年度は変革2021を経営テーマに計画を実行し、コロナ前の利益水準を超える成長軌道への回復を果たせた」など話した。 

また、経営方針として
〈1〉成長事業・成長領域の拡大
〈2〉事業モデル変革
〈3〉業務改革とDX推進
〈4〉成長、変革を促進する人材・風土改革
〈5〉サステナブル経営の推進
――の5つを掲げ、変革を進めた。 

佐々木社長は「〈1〉では差別化・競争優位の確立を目指し、SM・GMS・DRG・DS業態への取組拡大、新規事業として情報卸の推進、ECビジネスの拡大を図った。〈2〉では新たな価値の創造と事業構造改革を主に、CVSの構造改革、外食収益モデルの改革に着手し、市場環境が厳しい中、物流コスト改善を中心とする収益改善に成果を挙げた。〈3〉では、業務改善、業務効率化、コスト削減への取組、攻めと守りの施策で収益の改善を図るとともに、デジタル化を推進した。〈4〉では働き方改革・ダイバーシティの推進・健康経営と人材育成に取組み、経済産業省の健康経営優良法人認定を取得した。〈5〉では、本業を通じたSDGsの取組推進、ガバナンス強化、企業理念の浸透に取り組んだ。この2カ年、5つの経営方針のもと、定量でも定性でも成果を挙げることができた」と総括した。 

2021年度の業態別・カテゴリー別売上高は次表の通り(以下「収益認識に会計基準」適用前の比較)。コロナ前の2019年度との比較で、4.3%増のドライ分野のうち清涼飲料・嗜好飲料は1.8%増1,737億円、乾物乾麺・他加工食品は8.5%増1,589億円、調味料は16.5%増926億円、菓子は2.8%増1,026億円、原料は14.0%減175億円、酒類は3.1%増457億円だった。 

4.1%増のチルド分野のうち洋日配・乳製品は4.6%増4,405億円、和日配は9.2%増1,781億円だった。 

9.2%増のフローズン分野のうち市販用冷凍食品は23.8%増1,449億円、アイスクリームは10.0%増1,327億円だった。佐々木社長は「コロナ前と比べて市販用冷凍食品が最も拡大した。内食化・簡便性・SDGs貢献などでニーズの高まりがあった」とコメントした。 

また、別の捉え方で業務用商品・生鮮商品は合計で19年度比0.3%減5,524億円となった。

〈冷食日報2022年5月27日付〉