東日本大震災から5年を迎え、スーパー各社が原発事故の避難エリアへの出店を始めている。生活必需品が購入できるインフラを整えることで、住民の帰還を促したい行政や自治体の要請によるものだが、小売側にとって採算性は厳しい。生活に困らない品揃えを維持しながら、ローコスト運営に徹し、工夫を凝らした店づくりが行われている。 イオンは3月5日、福島第一原子力発電所から約25キロの福島県双葉郡広野町に、売場面積145坪のSM(食品スーパー)「イオン広野店」を開店した。広野町が町役場の隣接地に開設した公設商業施設「ひろのてらす」の核テナントになる。イオンのほかは飲食2店とリフォーム店、クリーニング店で構成する。 イオン広野店の扱い品目は約5,000アイテム。コンビニの1.5倍程度だが、生鮮3品、惣菜から加工食品、酒類、生活雑貨、衣料品、医薬品など、扱うカテゴリーは広い。広野町にはコンビニ2店と個人経営の食料品店があるが、生鮮品を扱い、必需品がひと通り揃う店舗はなかった。 広野町は震災前の人口は約5,500人。居住制限区域外だが現在の居住人口は約1,000世帯2,400人と半分以下になっている。多くのエリアが帰宅困難区域または居住制限区域になっている双葉郡の最南端で、復興の最前線として、同町で暮らす作業員は約3,000人と居住者を上回る。イオンでは1日の客数1,200人、年間45万人の来店で、なんとか採算が合うという見積もりだ。