「サードウェーブコーヒー」や「クラフトビール」など、「クラフト」(手作り)の認知が高まる中、今年は「クラフトジン」が話題を集めそうだ。「クラフトジン」に明確な定義はないが、「クラフトビール」同様、「造り手の個性」や「こだわり」を持つ少量生産のジンを指すことが多い。イギリスでは2009年創業の「シップスミス」が、1820年以降使われなくなった銅製の小規模蒸留器を使用し、スモールバッチ(少量生産)でジンの生産を始めて大ヒットした。その後スモールバッチのクラフトジンが世界的なブームとなり、世界中で新規参入者が急増している。

そして日本でも、昨年からその兆しはあった。昨年10月には、岡山の「宮下酒造」が国内初の試みとなる樫樽貯蔵の「クラフトジン岡山」を発売。同月、日本初のクラフトジン蒸溜所「京都蒸溜所」(京都)が製造する「季の美 京都ドライジン」が発売になり、話題を呼んだ。

今月9日には、サントリースピリッツが、ジャパニーズクラフトジン「ROKU(ロク)」の発売を発表した。11日には、アサヒビールも国産スピリッツの新ブランド「ニッカ カフェジン」「同ウオッカ」の発売を発表した。

本坊酒造も先月、ジャパニーズジン「和美人」を発売し、京都蒸溜所も「季の美」から2種の限定品を発と、ここにきて大手が続々とクラフトジンに参入してきた。今月13~14日の両日開催されたカクテル文化振興会主催による「東京インターナショナルバーショー」でも、今年はタスマニアからフィンランド、ドイツからカナダまで世界の小規模生産者によるクラフトジンブランドの出展が目立った。

なぜ今、「ジン」なのか。スピリッツの中でもジンの最大の特長は、ボタニカル(ハーブやスパイス、果皮、根など)を使うこと。「ボタニカル」は、ファッションやライフスタイルにおいてもトレンドだ。さらに、そのボタニカルの選び方で、造り手や生産地の「個性」をさらに際立たせることができる。

ジャパニーズジンに使われるボタニカルも、柚子やスダチのような和柑橘、山椒や生姜といった日本古来のハーブが多い。たとえばサントリーの「ロク」は、桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子など日本ならではのボタニカルと伝統的なジンのボタニカルを使用。ニッカの伝統的な連続式カフェ式蒸溜機でつくる「カフェジン」も、山椒や和柑橘など12種類のボタニカルを使用する。

ジンは、ウイスキーやコニャックと違って熟成の必要がないため、製造後すぐに出荷できるため、新規参入のハードルも高くない。

大手メーカーの参入をきっかけに、今年「クラフトジン」は一気に広がりを見せそうだ。