酒中連と各団体が税制改正要望を提出、「租特」の恒久化を要望

酒類業中央団体連絡協議会ならびに各業界団体は税制改正要望書をとりまとめ、自民党・民進党・公明党ならびに財務省・国税庁に提出した。前年との比較で、主な変更点は次の通り。

【酒中連】▽「酒税の減税要望等について」では、「酒類は酒税と消費税が併課されていることを勘案して、消費税の引上げに併せて酒税制度を見直す場合は、酒税の大幅な減税をしてもらいたい」は削除。政府は2019年10月に消費税増税を予定しているが、酒税の増減税は2020年からスタートが決まったため。▽「制度合理化について」では、「特に、各酒類団体が共通して重要と認識する事項について、意見をとりまとめ別途提出するので、是非とも実現をお願いしたい」とした。▽「公正な取引市場の確保について」では、本年6月1日施行された「公正な取引の基準」について「当局におかれても酒類業界の実態を踏まえながら、取引の一層の透明性・合理性を維持し、公正な市場を確保するため、適切な指導・調査の実施をお願いする」とした。

【日本酒造組合中央会】▽前年までの「“國酒”の酒税の減税について」「外国人旅行者に酒蔵で販売した酒類に係る酒税の免許制度の創設について」「日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置の適用期限の延長について」を削除。

替わって▽「中小零細事業者の負担調整措置として、租税特別措置法第87条の恒久化等の実現について」を第一項目とした。また「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災特例法)に基づく被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例の延長について」を加えた。

 【ビール酒造組合】▽「酒税に関する要望事項」については、「一本化されるビール、発泡酒の税率は、他の酒類と比べ依然として高い税率であり、同じ発泡性酒類に分類される“その他の発泡性酒類”が、1klあたり10万円となることと比較しても、なお大きな格差がある。また、諸外国と比べても、高い税率といえる。私たちは、ビール・発泡酒のさらなる減税を要望する」とした。

【日本洋酒酒造組合】▽「洋酒系の発泡性酒類の増税反対」「混成酒類の基本税率の改正」を削除。

【日本ワイナリー協会】▽「ワインの酒税増税絶対反対」を「ワインの酒税増税時における中小・零細ワイナリーの救済策の充実強化」に変更。▽「オークチップを使用した場合の現行の酒税法の品目を甘味果実酒から果実酒に変更」を削除。

【日本蒸留酒酒造組合】▽「ビール類と類似性を有しない発泡性酒類については、ビール類と区別して検討していただきたい」を削除して「焼酎甲類及び合成清酒に係る租税特別措置法第87条の特例措置の恒久化をしていただきたい」を加えた。

【日本洋酒輸入協会】▽「果実酒に対する酒税増税絶対反対」を削除し「景気条項の弾力的かつ機動的な発動について」を加えた。▽「暫定税率の無税措置から協定税率又は基本税率の無税措置への移行について」「複数税関署にまたがる輸入酒類に係る事務処理の事前一括手続を可能とする制度導入について」を削除した。

【全国卸売酒販組合中央会】▽「第一、公正取引推進のための措置について」として、公正取引全般についての要望とし、そのなかで①改正酒税法等の円滑な運用のための適切な措置の実施②独占禁止法の厳正な運用等③メーカーによる小売価格指定制度(再販売価格維持)の実現–と整理した。▽また前年は「第五」であった「税率変更が実施されたときにおける酒税相当額の変動額の円滑かつ適正な転嫁」を「第二」とした。

【全国小売酒販組合中央会】▽「当会が求めていた酒税法と酒類業組合法の改正案が成立したことを受け、実効性のある公正な取引の基準の策定を求める」「ビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)に対する基本税率の一律適用を求める」を削除し「酒類の公正な取引の基準の厳格運用を求める」「酒類業界の実態を踏まえ指針に基づく適切な調査・指導を求める」とした。▽「消費税軽減税率の対策補助金制度の期間延長を要望する」を加えた。

【全国地ビール醸造者協議会】▽租税特別措置法に規定する酒類に関する事項の恒久化等について」を第一項目とした。▽「独立行政法人酒類総合研究所に関する要望(ビール醸造講習の拡充など)」を加えた。