〈今年の市場を振り返る〉ビール類 改正酒税法と最盛期の天候不順が直撃、年間で97%台で着地か

ビール類総市場は、ビール4社の販売ベースで、1~11月で前年比97.6%とみられる。年間着地は97.5%前後で着地しそうだ。業務用の樽生も1~11月で97.7%、ほぼ総市場並みとなっている。

今年は6月の改正酒税法による店頭売価の上昇と、最盛期から秋にかけての長雨や台風上陸など天候要因の2つに尽きる。小売チェーンのチラシ掲載頻度は大きく下がり、需要に影響した。また、缶チューハイやハイボールなどのRTD への流出も更に加速した1年となった。

注目を集めた新商品として「クリアアサヒ贅沢ゼロ」(2月21日)、「スーパードライ 瞬冷辛口」(5月30日)、「のどごしスペシャルタイム」(4月18日)、「のどごしZERO」(9月19日)、「頂〈いただき〉」(7月4日)、「ヱビス華みやび」(3月7日)、またノンアルコール「零ICHI」(4月11日)などがあった。

総市場の月次推移は、1月は昨年の政策在庫反動の裏で6.7%増でスタートを切り、2月は昨年の閏年の裏で4.2%減、3月は新製品が多く1.1%減にとどめたが、4月はGW の並びで下旬の出荷が落ち込んで4.2%減、5月は6月の、過度の安売りを規制する改正酒税法の施行を前に予想以上の仮需が発生し12.5%増、6月はその反動が出て10.7%の減だった。

7月は初旬こそ6月の悪い流れをひきずったが、中旬から猛暑になり1.8%減にとどめた。8月は東日本・北日本が長雨にたたられ業務用を直撃、6.1%の大幅減となった。9月も残暑は短く涼しい秋の訪れとなり、4.2%減。10月は下旬の週末に大型台風が連続して上陸するという悪天候で6.2%の大幅減となった。11月は6月からの不調を脱して0.9%減とほぼ前年並みに戻してきた。

総市場が落ち込む中で、糖質オフ・プリン体ゼロなどの機能系ビール類は堅調に推移した。特に新ジャンルカテゴリーは年間で4~5%伸びそうだ。ノンアルコールビールテイストも「ドライゼロ」「オールフリー」の好調に「零ICHI」が上乗せして5%強の伸びで着地するとみられる。

〈酒類飲料日報2017年12月11日付より〉