アメリカのクラフトビール協会(Brewers Association)はこのほど、アメリカにおける今年のクラフトビール統計と活動を発表した。

同協会は今年6月、「クラフトブルワー証明シール」をリリースしている。クラフトビールブランドの買収が増える中、同協会の定義にあう“独立した小規模なブルワリー”であることを証明するもので、シールは会員非会員問わず、同協会の定義にあっていれば無料で付けることができる。

現在、アメリカには6,000軒以上のビール醸造所があり、うち98%がクラフトブルワリーだ。「クラフトブルワー証明シール」は、2,700社以上で使われている。販売金額は2016年、678億ドルで、2014年比22%増。

ホームブルワー(家庭内醸造)の数は110万人で、今年は140万バレル以上のビールを生産。これはアメリカのビール生産量の1%にあたる。ビールツーリズムも増加しており、平均的なクラフトビール愛好家は、自宅近くのブルワリー3.5軒、車で2時間以内の醸造所2.5軒を訪れる。

【今年の話題】
① 2011年以来、10のクラフトブルワリーを買収したアンハイザーブッシュ・インベヴを「買収」するために213億ドルを調達するクラウドファンディングキャンペーン「Take:Craft Back」を開始。12,000名のクラフト愛好家が賛同している。

② 11月の上院税制改革法案の改正案として追加された「ビバレッジ・ビア・サポート:クラフト・ビバレッジの近代化と税制改革法」(CBMTRA)は、議会で大多数の支持を得た。年間200万樽未満を生産する国内醸造所の最初の6万樽に対する消費税を1樽7$から3.5$に削減するもの。2018年1月1日に発効する。


〈アメリカンクラフトビールとフレンチのペアリングを提案〉

同協会は先月、東京・大阪の二都市で愛好家向けイベント「アメリカン クラフトビール エクスペリエンス」を開催。東京での開催前には、同協会から来日したエグゼクティブ・シェフ アダム・デュライ氏による料理とアメリカンクラフトビールのペアリングディナーを東京・日本橋「ラ・ボンヌ・ターブル」で開催した。
愛好家向けイベント「アメリカン クラフトビール エクスペリエンス」

同イベントに参加した9ブルワリーのビールを、前菜からデザートまで5つの料理に合わせる試み。「ひとつひとつ個性を持つビールのフレーバーを活かしたペアリングのポテンシャルを試してほしい」(主催者)。

「帆立のフリット」には、すっきりとした「スリーウエーヴァーズ コルシュ」。「たまねぎのスープ」のクリーミーな食感に「ホップワークス ロングルートエール」、スープに添えられたベーコンの風味に、「エボリューションIPA」。ローズマリーが香る「子羊のロースト」には、赤ワイン的なニュアンスのあるフィフティフィフティブルーイングの「エクリプス」。「ウチワエビと平目のパイ包み」では、魚とソースにハードウッドパーク醸造所のVIPA、パイ皮にはサウンドブルワリーのダブルIPA が良くあった。

デザートの「無花果とローゼルのパブロバ」には、サワービール「クラスターファンク」と「パイナップルマナホウィートビール」。

フレンチを基本とする料理にはワインを選びがちだが、個性的な香りや味わいを持つアメリカのクラフトビールとのペアリングはとても新鮮だ。

ある造り手は「大手が支配する市場は経済効率優先でスタイルが限られ、魅力はない。ビールにとって大切なのは、品質だけでなく、バラエティやクリエイティビティだ」と話す。そして、「アメリカでは一流の料理とクラフトビールを共に楽しむ“ビアディナー”が人気だ。今回のイベントを通し、ビールが食事の一部であることを感じてほしい」と結んだ。

〈酒類飲料日報2017年12月26日付より〉