ビール定義拡大に伴い、クラフトビールへさらなる注力―キリン

「3種のGRAND KIRIN 体験BOX」(左)、「雨上がりのGRAND KIRIN体験BOX」(右)
キリンビールは4月3日より、昨年コンビニエンスストア限定で販売を開始した「グランドキリン」シリーズ缶商品(350ml)の販売チャネルを拡大。また同日から、3種の「グランドキリン」を飲み比べできる詰め合わせセット「3種のGRAND KIRIN 体験BOX」を、全国の量販店・ECチャネルで数量限定発売する。さらに、レモンビール「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」を4月17日より全国のコンビニエンスストアで期間限定発売するほか、ベルジアンホワイト「グランドキリン 雨のち太陽、ベルジャンの白」を6月5日より全国で期間限定発売。6月12日には、「雨上がりのGRAND KIRIN体験BOX」を全国の量販店・EC チャネルで数量限定発売する。

ビール定義拡大に伴う新たな展開・発売を前に、13日には「クラフトビール新商品発表会」をガーブ東京で開催。同社企画部部長山田精二氏とマーケティング部部長田山智広氏が概略以下のように語った。

山田氏=2016年、アメリカのクラフトビールブルワリーは6,000軒を超え、市場規模は金額ベースで2割を占める。イギリスやオーストラリアでも金額ベースではほぼ1割規模だが、日本市場はまだ1.5%に過ぎない。だが、逆に今後、拡大の伸び代は大きいともいえる。

キリンビール 企画部 山田精二部長

キリンビール 企画部 山田精二部長

実際、日本でもクラフトブルワリー数は増加しており、大手5社以外のビール製造量も増加傾向にある。さらに、クラフトビール飲用経験者における継続飲用意向を見ると、男性20~30代、女性は20~40代までが「今後も飲用したい」と支持しており、「ワインや日本酒好き」「料理と合わせたい」「購買力がある」層から幅広く支持を得ていることがわかる。いわゆる普通の「ビール」とは逆で、10~20年後のメインターゲットになる「将来顧客」だ。

〈「一人勝ち」より「みんな勝ち」、クラフトビールを市場拡大の起爆剤に〉
山田氏=キリンでは、「自分好みのビールを選んで飲む時代」を創りたいと市場の活性化に尽力しているが、「リーディングブランド」が必要になる。自社ブランドの育成はもちろんだが、カテゴリー拡大施策として欠かせないのは、「一人勝ち」ではなく、「みんな勝ち」。仲間となるクラフトブルワリーとの協働・育成を図りながら、クラフトビールを日常化させたい。

そのためには「選びやすい」「買いやすい」「飲みやすい」の3「やすい」が必須。「飲みやすい」では、当社開発の小型ディスペンサー「タップマルシェ」を昨年は首都圏約1,000店に導入。今年は全国で約5,000軒に拡大するほか、映画館やブックカフェ、寿司屋など、さまざまな業態に広げる。「買いやすい」では、「グランドキリン」缶商品を4月よりフルチャネル化。クラフトビールを通して、多様性に富んだビールの魅力を伝え、ビール市場全体の起爆剤にしたい。

ただ、その魅力は15秒単位のTV-CMで伝えきれるものでもない。4月には、クラフトビールについて学べるウエブサイトをオープンする予定。知れば知るほど奥深いビールの多様性や楽しさを伝えたい。

田山氏=酒税法改正に伴うビール定義拡大により、麦芽重量の5%まで追加副原料が使えるようになり、多様な「ビール」提案が可能になる。スプリングバレーブルワリーでも創業から3年間にわたり、さまざまなトライアルを重ねてきた。そこで得た知見や技術はキリンビールの商品開発にも活かされている。

キリンビール マーケティング部 田山智広部長

キリンビール マーケティング部 田山智広部長

新商品「ひこうき雲と私 レモン編」では、これまで言えなかった「レモン“ビール”」を表記でき、「雨のち太陽、ベルジャンの白」も「ビール」として販売できる。共に市場で受け入れられやすい300円未満を想定。SVB からもフルーツビール「SOUR Citrus」を販売する。

〈酒類飲料日報 2018年3月14日付より〉

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