〈注目企業〉飯田グループ・新中野工業 「蔵元に貢献できる精米機メーカーに」、季刊誌「酒蔵萬流」で全国の酒蔵を紹介

季刊誌「酒蔵萬流」
精米機メーカーの新中野工業(岡山市東区)は1985年にいち早く全自動精米機を発売し、当時の地酒ブームに貢献。その後、清酒市場は縮小し、規制緩和も進んで価格競争が激しくなり冬の時代を迎えたが、2006年5月に酒類食品卸の飯田(大阪府八尾市)が経営を引き継いで以降は順調に推移してきた。受託精米事業や全国の酒蔵を紹介する季刊誌「酒蔵萬流」の発行といった取り組みを含めて、飯田グループを指揮する飯田豊彦社長に話を聞いた。
飯田豊彦社長

飯田豊彦社長

精米機は高額であり、販売台数は年ごとに凹凸はあるが、概ね順調に推移しているという。その要因は、吟醸ブームの頃に毎年20台前後設置した全自動型精米機「NF」の更新時期となっていること、飯田が経営を引き継いだ後に開発したダイヤモンドロールを使用した新型「NF-20」の販売が好調なためだ。すでに来年、再来年にかけても大きな受注が入っているとしている。
 
また、同社では受託精米の事業も展開している。29BY(17年7月~18年6月)の実績は159社、9万7,000俵で、今年も同程度を見込んでいる。平均精米歩合は兵庫の精米所が36%、岡山の玉野の精米所が48%と、いずれも大半が高級酒の大吟醸向けのため、高精白であるのが特徴だ。
 
「事業を引き継いで以来、蔵元に信頼される精米というのを考えてきた。サンプルを添付し、様々なデータを提供している。農家の方には作る段階から醸造に適した米作りをしてもらえるよう講演なども行なっている」と胸を張る。
 
季刊誌「酒蔵萬流」は、発刊ごとに7つの蔵元を紹介している。「日本酒業界の発展に貢献したいという思いで取り組んでおり、楽しみにしているという声もいただいている。最新号では米国サンフランシスコの蔵元も取材して掲載した。醸造機械や周辺の資材も取り上げていきたい」。また、飯田本体は12月1日、季刊誌「日本ワイン紀行」を創刊した。「販売店や飲食店は日本ワインの情報をほとんど持っていないので、しっかり伝える媒体にしたい」と意気込む。

季刊誌「日本ワイン紀行」

季刊誌「日本ワイン紀行」

今後の展開については、「来年、再来年と予約をもらっているが、精米機の製造は手作業の部分が多く、人員も少ないため、お待ちいただき迷惑をお掛けしている。迅速に対応するとともに、各蔵元に貢献できる精米機メーカーになるための努力を続けていく。新中野工業は飯田グループ内の様々な部門と情報交換を行っており、単純に精米機だけを売っているつもりはない。我々の持っている情報を提供しながら、日本酒のさらなる発展に貢献していきたい」と力強く語る。
 
〈酒類飲料日報 2018年12月26日付より〉