サントリースピリッツは23日、ロンドンのクラフトジン蒸留所「シップスミス」から創業者3名を迎えたブランドセミナーをマンダリンオリエンタル東京で開催した。「シップスミス」は2008年、フェアファクス・ホール氏、サム・ゴールズワージー氏、ジャレット・ブラウン氏の3名がロンドンに創業したクラフトジン蒸留所。約200年ぶりにロンドンで銅製の蒸留器が稼働したことで、大きな話題を呼び、英国全土にクラフトジンブームが到来。当時12しかなかった蒸留所は、この10年で450超に増えたという。ブームはイギリスから世界へと飛び火し、クラフトジンは大きなムーブメントとなった。

2016年12月には、ビームサントリーが経営権を取得。ビーム社の国際流通網を使うことで、市場は世界に広がった。

「シップスミス」の昨年の販売数量は、前年比63%増の14万2500ケース。本国イギリスが売り上げの6割を占めるが、アメリカも2018年には前年比2.5倍の売り上げを記録している。

世界のプレミアムジン(22.5USD以上)市場600万ケースにはまだ及ばないが、日本のプレミアムジン市場も昨年は、前年比81%増の5万ケースと大きく拡大した。「ジンは、バーで飲むイメージがまだ強いが、“ROKU”ではソーダ割という新しいスタイル、“ビーフィーター”では食中酒としての提案を続けてきた。今後も、ジンの飲用機会を広げる試みを継続・拡大していく」(同社清水悟部長)。

同社は今年1月8日より、同ブランド「ロンドンドライジン」(4,200円)「VJOP(VeryJunipery Over Proof Gin)」(4,735円)の取り扱いを開始した。年内販売計画は1,000ケース。
 
〈「ロンドンドライジン」の歴史への敬意から誕生、クラフトブームけん引〉

幼馴染だったホール氏とゴールズワージー氏がアメリカでクラフトムーブメントに刺激を受け、ロンドンに蒸留所を作ることを決めた。創設の地に選んだのは、ウエストロンドンにあるウイスキー評論家マイケル・ジャクソン氏のオフィス跡地だ。マスターディスティラーとして迎えたジャレット・ブラウン氏とともに、「クラシックでオーセンティックなロンドンドライジン」の製造に挑戦するが、ロンドンでの蒸溜免許取得には2年の歳月がかかったという。ブランド名は、「Sip」(ゆっくり楽しみながら味わう)とSmith(熟練した技術を持つ職人)を組みあせた造語。ラベルに描かれた白鳥は、銅製ポットスチルの「スワンネック」からきている。

造りにおけるこだわりとして「原料」「浸漬」「蒸溜」の3点から説明した。ボタニカルは10種類を使用。ジュニパーは「質感が独特な」地中海北部産。英国産小麦を使ったアルコール分96度のベーススピリッツに水を加え、抽出に最適な60%にして、ボタニカルを一晩浸漬する。ただし、レモンピールとオレンジピールは最後に加えて香りを生かす。
「ロンドンドライジン」

蒸溜には、不純物を取り除く銅製の蒸留器を用い、蒸溜過程中盤のハートカットのみを使用する(ヘッドとテールは香りで見分ける)。さらに、蒸溜は1度きりの「ワンショット製法」で、骨格のしっかりとした上質なジンを生み出す。「ロンドンドライジン」は、「松やかんきつ、乾いた牧草の香り。あたたかいが、かっと熱くはない。ベーススピリッツの高い品質が感じられるはず」。「日本の哲学に基づいて造った」という「VJOP」は、ジュニパーを浸漬・非浸漬・バスケットと3通りで使うことで「全方位からジュニパーが感じられる仕上がりに」。
 
〈酒類飲料日報 2019年1月24日付〉