岩手「南部美人」はこのほど、国内外のヴィーガン認証を取得した(国内=NPO法人ベジプロジェクトジャパン、海外=The VeganSociety)。

「ヴィーガン」とは、肉や魚はもちろん、卵や乳製品を含む動物性食品を一切口にしない「完全菜食主義者」のこと。同社は2013年、「コーシャ認定」(ユダヤ教の宗教指導者ラビが、原材料や製造工程などを直接確認し、ユダヤの教義に従った安全な食品であると認定したもの)も取得している。同社では生産量の約18%を輸出。うち3割をアメリカが占める。海外市場からのニーズを受け、ヴィーガン認証取得に至った。構想から4年、申請から1年かかったという。同社代表取締役社長久慈浩介氏に話を聞いた。
株式会社南部美人 久慈浩介社長

株式会社南部美人 久慈浩介社長

――日本酒はもともとヴィーガンなのでは?
 
ゼラチンなどを使う大手もあるが、基本的に日本酒はヴィーガンだ。しかし海外では日本の「あたりまえ」は通用しない。日本酒は海外でも人気だが、一部のファンに支えられるだけでは、いつか壁にぶち当たる。そもそも日本酒の原料がコメであることを知らない方もいる。
 
――認証を取得されたことで何が変わるのか?

 
欧米では、ヴィーガン・コーシャの認証は安全・安心の基準と考えられている。コーシャ認定を受けた食品を買っているのは、ユダヤ教の方々よりむしろ、食の安全・安心を求める方々の方が多かった。そもそも安全・安心が「あたりまえ」ではない国も多い。認証マークをつけることで、「安心して飲むことができるお酒」と伝わる。宗教や言葉の壁を超えることができる。
 
つまり、「あたりまえ」をまず「見える化」すること、「食の安全・安心」を求める市場に参入すること、そして宗教や思想の壁を越え、一目でわかる基準で日本酒を「買うべきもの」と理解していただくこと。
 
ヴィーガン認証もコーシャ認証も、世界市場で戦う上の武器であり、日本酒の価値を高めるための手法のひとつだと考える。海外の市場に向け、日本酒を広める足掛かりになるはずだ。日本酒の新しい未来のために、風穴を開けたい。
 
――今後の展開は?
 
グルテンフリー認証(小麦タンパクのグルテン無添加)も申請している。また、当社は2013年にコーシャ認定を取得したが、今ではコーシャ認定を受けた酒蔵が15社以上に増えた。
今回ヴィーガン認証を受けたことで、真のヴィーガンだけでなく、認証を目印に商品を選ぶ層にもアピールできるはず。この試みが、日本酒業界全体に広がり、世界に日本酒の価値を伝えられることを期待する。
 
〈酒類飲料日報 2019年3月8日付〉