チリワイン「コンチャ・イ・トロ」アンバサダー迎えセミナー開催/日本リカー

左=コンチャ・イ・トロ社ワインアンバサダー パブロ・プレサック氏
日本リカーは6月5日、チリのコンチャ・イ・トロ社からワインアンバサダーのパブロ・プレサック氏を迎えたテイスティングセミナーをチリ大使公邸で開催。日本未輸入を含む「マルケス・デ・カーサ・コンチャ」5アイテムとチリ初のアイコンワイン「ドン・メルチョー」を使った「エクストリーム ヴァレー テイスティング」をとおし、チリ最南端のビオビオ・ヴァレー、北部のリマリ・ヴァレー、中部アルト・マイポ・ヴァレーのテロワールを比較した。同スタイルのテイスティングは、日本で初めての試み。

同社代表取締役社長森裕史氏は冒頭、「チリワインは現在、輸入量No.1だ。当社では“コンチャ・イ・トロ”というブランドを通し、チリワインの多様性も訴求したい」と話した。プレサック氏も、「当社にとって日本は大事な市場。これからはバリューにフォーカスし、チリワインの多様性、ファインワインのポテンシャルを伝えたい」と話す。以下、セミナーの概略を紹介する。

コンチャ・イ・トロにとって「マルケス・デ・カーサ・コンチャ」は重要なブランドのひとつ。1976年に、チリを代表する品種カベルネ・ソーヴィニヨンからスタート。その後、さまざまな品種、テロワールを紹介するショーケースとして、チリの多様性を伝えるポートフォリオに成長した。

まず、シャルドネでは、最も北にあるリマリと、900km南にあるビオビオで比較する。リマリは砂漠に近く乾燥したエリアで、年間降雨量は70ml程度。太平洋の影響を強く受ける。90年代にはワインより、ピスコがつくられていた。アンデスの水を使った農業を政府が奨励し、アボガドやオリーブも植えられている。

畑はケブラダ・セカ(水のない小川の意味)にあり、海抜150m。海から近く、風が吹き込む起伏の大きな川の北にシャルドネ、粘土質でフラットな川の南のサンフリアンにピノ・ノワールを植えている。

年間を通して、「カマンチャカ」という海風が吹き、朝霧が運ばれるため午前中は光度が低い。一方、ビオビオは小石混じりの花崗岩土壌。リマリのシャルドネは、フレッシュで特有のミネラル感、シャープな酸がある。ビオビオのシャルドネは、果実感にあふれ、豊満で丸みがあるスタイル。テロワールを表すために造りは全く同じで、どちらもMLFは一切しない。

ピノ・ノワールでは、ビオビオはシャルドネと同じ畑だが、リマリはサンフリアンで栽培。粘土土壌由来のやわらかさがある。

〈日本初「エクストリーム ヴァレー テイスティング」でテロワール比較〉
カベルネ・ソーヴィニヨンは、「マルケス・デ・カーサ・コンチャ」と「ドン・メルチョー」を比較。マイポヴァレーのマイポ川南岸にあるのがピルケで、当社が1875年に購入した最も古い畑だ。

「マルケス」のカベルネは、「ドン・メルチョー」のセカンド的位置づけ。2013年から、フレッシュなスタイルに方向転換。収穫を早め、新樽の影響を少なく、アンデスの影響を強く受けるピルケのぶどうをブレンドすることにした。現在、6割がプエンテ・アルト、4割がピルケのぶどうを使う。

テイスティングに使用したワイン

2016年は、エルニーニョの影響を強く受けた年。降雨量は平年270mlだが、この年は450mlもあった。4月に強い雨が降り、収穫を早めなくてはいけなかったため、15年と比べるとフレッシュでエレガントなスタイル。マルケスのカベルネでは5,000Lのフードル比率を増やしている。スタイルの違いがわかるはずだ(なお、ビオビオのシャルドネとピノ・ノワールは日本未輸入)。
 
〈酒類飲料日報 2019年6月7日付〉