〈「スーパードライ」で“ビール回帰”を手繰り寄せる〉
――1~9月を振り返っていかがですか。


当社は「基幹ブランドの強化と新需要の創造」を本年のスローガンとし、ビール類市場の活性化に取り組んできた。1~9月の当社ビール類は97.7%だ。市場はRTDと新ジャンルに流れ、ビールの消費が弱くなったことは否めない。1月はいいスタートが切れたが、2、3月は昨年の瓶・樽の値上げの影響、7月は記録的な冷夏と長雨などがあり厳しかったが、9月は消費増税前の仮需で巻き戻した、という推移だ。

9月の仮需は、チェーンによっては9月の上旬から積極的に仕掛けたところもあり、その後のメディアの報道も後押しして月末になるほど盛り上がっていった。

――「スーパードライ」はいかがですか。

1~9月でブランド計は96.5%だ。年初から「スーパードライ」の価値向上に努めてきた。改めてその価値を知ってもらうために4~7月に30万人規模のサンプリングを実施した。さらに、製造後翌日出荷する「鮮度実感パック」を4月、6月、8月に発売した。4月は、前年比で取扱い店舗は4倍、販売数量は2倍になるなど好調だった。「鮮度実感パック」はこれまでは製造後3日以内の出荷だったが、翌日出荷を実現できたことは、当社の独自のノウハウの蓄積によるもので、継続してやっていく。業務用においては、5月に「エクストラコールド」で、よりキメ細かい泡を実現する新型専用タップを導入した。

また若年層をターゲットとして、4月に新商品「ザ・クール」を発売、5月には「瞬冷辛口」もリニューアルした。「ザ・クール」は、瓶からのダイレクト飲用が大変好評で、現在約3,600店の飲食店様でお取扱いを頂いているが、函数を追うことなくブランドを育成していく。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)関連では、ゴールドパートナーとして限定商品の発売や、エリアごとにデザインした商品を発売し、自治体と協業して機運醸成に取り組んだ。

――新ジャンル・発泡酒は。

新ジャンルは1~9月で103.1%。1月に新発売した「極上〈キレ味〉」は大変ご好評をいただき年初計画300万ケースのところ、4月に400万ケース、9月に500万ケースへ2度上方修正した。目論見以上の結果を出している。「キレ味」ということから、特に夏場にかけて好調に推移した。また、機能系は好調だ。「アサヒ オフ」はロイヤルユーザーがついていることから、100.8%と安定した伸びをみせている。「スタイルフリー」計も発泡酒市場が落ち込むなか、97.2%だ。一方で「クリアアサヒ」計は、「プライムリッチ」が伸び悩んだ影響が大きく、87.3%と苦戦した。

――消費増税への対応は。

10月は反動減を心配していたが、回復は早いとみている。当社は10月22日の即位の礼に向けて10月8日に「スーパードライ ロイヤルリミテッド」を発売した。また、主要商品で東京2020大会のチケットが当たるキャンペーンを実施しており、キャンペーン開始初週の応募数は前回の約14倍にのぼるなど、東京2020大会のムードの盛り上がりを実感している。

業務用は、それほど仮需は起きず、むしろ、消費税が10%に上がることで、今後消費マインドの停滞から需要の冷え込みが懸念される。当社では、グループ会社の商品も活用した様々な飲み方提案を行っており、またラグビーW杯も11月上旬まで続くので、バー業態はじめパブリックビューなどでの販促を強化している。

〈樽ハイ倶楽部」9%増も家庭用は課題〉
――ビール類以外はいかがですか。


RTDは1~9月で105%。今年、「ウィルキンソンRTD」「贅沢搾り」「もぎたて」の3ブランドに集中した。「ウィルキンソンRTD」はブランド計で177%。「ハードナイン」「ドライセブン」「ハイボール」の3本を柱として取り組んだが、まだまだ伸ばす余地があった。「贅沢搾り」は104%と好調だ。

業務用では圧倒的なシェアを持つ「樽ハイ倶楽部」が109%と順調だった。家庭用RTDは課題を残したが、来年は立て直す用意をしている。

ウイスキーは1~9月で112%と好調だ。うち国産113%、輸入106%。「ブラックニッカ」ブランド計は109%。「クリア」「リッチブレンド」「ディープブレンド」の主力3商品に加え、限定商品の「ナイトクルーズ」「コンフォートアロマ」を発売し、需要創造を図った。6月には主力3商品の認知拡大を目的とし、飲用シーンが体感できる期間限定バーを六本木ヒルズにオープンした。原酒の問題があり、エイジングものは不足しているが、引き続き原酒の確保に努めたい。業務用の「ブラックニッカ クリア 樽詰めハイボール」は121%と大きく伸びている。

ワインは1~9月で94%。うち国産が95%、輸入が94%だ。これまでチリの「アルパカ」がけん引してきたが、日EU・EPA の影響で94%と苦戦した。焼酎は99%と僅かに届かず。しかし「かのか」計は103%と、前年を上回り、好調に推移している。

ノンアルコールビールテイストは100%。今後もNo.1ブランドであることを訴求してゴルフ場や温浴施設といったところに加えて、ビジネスシーンなどで飲用シーンを拡げていく。

――第4四半期に営業現場に強調することは。

消費増税後の影響を少なくしていくために、店頭を盛り上げる新しい商品などを準備している。10月23日発売の「アサヒ クラフトスタイル」や11月12日発売の「クリアアサヒ吟醸」など期間限定の新商品を店頭にしっかり置いていく。11月には製造後翌日出荷の「鮮度実感パック」もある。そして年末の“ハレの日"需要を最大限に刈り取ることがポイントになる。これらの活動を通じて、来年へのステップにしていく。来年はいよいよ東京2020大会が開催される。10月にはビール減税・新ジャンル増税も控えている。ビールへの流れをつくっていくということをこの第4四半期から先取りして取り組んでいく。

〈プロフィール〉
濱田賢司(はまだ・けんじ)1964年生まれ、横浜市立大商卒。86年4月アサヒビール入社、2001年アサヒ飲料経営戦略部長、06年アサヒビール経営企画部長、11年アサヒグループホールディングス理事経営企画部門ゼネラルマネジャー、14年同執行役員、16年同取締役兼執行役員、17年同CFO、19年3月アサヒビール専務取締役兼専務執行役員営業本部長兼経営創造本部長。

〈酒類飲料日報 2019年10月28日付〉