サントリーワインインターナショナル オーガニック3倍、全体は2%増の目標/2020年事業方針

サントリーワインインターナショナル 宮下敏社長
サントリーワインインターナショナルは1月21日、都内で事業方針説明会を開催した。

記者会見では同社の宮下敏社長が、1月4日に逝去したジョルジュ・デュブッフ氏への哀悼の意を述べたのち、2019年の振り返りと2020年の事業方針、および環境への取り組みについて以下のように語った。

〈課題は20~40代の需要創造〉
【2019年の振り返り】
日欧EPA の発効により国内のワインの市場が拡大すると予想していたものの、当社の推計では前年比99%(輸入98%、国産100%)で、2年連続の減少となった。

厳しい市場環境ではあるが、当社は販売数量ベースで102%と前年を上回ることができており、EPA発効に合わせてポートフォリオを強化してきた欧州産ワインは110%で着地したほか、国産カジュアルワインは104%と伸長した。新需要創造についてはボトル缶やカップワインといった新たな容器を採用した商品や、氷を入れて楽しむ新たな飲み方提案、「赤玉パンチ」などでお客様との接点拡大に努めてきた。

課題は、50~60代の購入量は健闘しているものの、20~40代の減少は著しいこと。ワイン市場拡大のためには40代以下の方の接点を拡大しワインユーザーとなってもらう取組を進めるほか、50代以上の元気な方の底上げについても取り組まなければならない。

〈オーガニックは知名度がある既存ブランドから発売、スパークリングで新機軸提案も〉
【2020年の事業方針】

「国産カジュアルワインのさらなる拡大」「輸入戦略ブランドポートフォリオ強化」「ワイン飲用接点の創出に向けた需要創造」「日本ワインの質・量の向上に向けた取組」の4つの取組を推進する。

「国産カジュアルワインのさらなる拡大」では容量ベースでは国内で最も売上が多いワインである「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」と、「デリカメゾン」の2本柱のさらなる強化を図り、前者はブランド計で196万ケース(前年比102%)、後者はブランド計で101万ケース(同102%)を目指していく。

また、日欧EPA 発効の影響などもあり、ユーザーの各国間の回遊が活発になったスティルワイン市場に対し、国産と輸入ワイン双方のベネフィットを持ち、ネガティブな部分をカバーした新たな魅力を持った商品「5セレクト レゼルヴ」を発売する(2019年12月12日付既報)。「輸入戦略ブランドポートフォリオ強化」では世界的に人気が高まっているオーガニックワインに対して取組を深めていく。オーガニックワインに関しては日本の消費者も関心は高いものの「どれを選べばいいかわからない」という声もかなり多い。そこで既に消費者の認知度が高い「マドンナ」や「フレシネ」などの欧州各国のブランドからオーガニックのラインアップを新たに発売する。目標はオーガニックワイン計で8万ケース、前年比で310%を目指していく。

「ワイン飲用接点の創出に向けた需要創造」ではワインから遠ざかっている20~40代の入り口として「スパークリングワイン」をさらに強化していく。新機軸提案としてはスパークリングワインに和の柑橘をひと絞りした爽やかな味わいが特徴の「雫音(しずね)」2商品を発売することで、新たなシーンの提案を行い、市場の拡大を図っていきたい。

他にも東京オリンピック・パラリンピックで活性化するインバウンド需要を取り込めるような商品として、2018年に料飲店向けに発売している「サントリー カップワイン」をリニューアルするほか、これまでの「赤」「白」に加えて、2月25日には「ロゼ」を限定商品として発売する。もちろん氷を入れて飲むワインの提案も継続して行っていく。

「赤玉パンチ」も好調に推移しており、缶商品は、これまでコンビニ限定としていたものを3月17日からはチャネルを拡大して発売する。業務用商品の取り扱い店舗では目標を3万店としさらなる拡大とブランドの育成を図る。

「日本ワインの質・量の向上に向けた取組」としては、引き続き当社のワインアンバサダーの岩田渉氏(アジア・オセアニア最優秀ソムリエ)に耳が痛くなる意見も含めアドバイスを頂くほか、農業生産法人を活用した国産ぶどうの調達にも努める。自社農園と農業生産法人計で、2025年にはぶどうの作付け面積を67ha(2019年比で1.5倍)まで拡大していくつもりだ。また、2019年は出荷調整の都合で前年比は72%(岩の原葡萄園の出荷数量含む)となったが、本年は出荷体制を万全にすることで114%を目標としている。
 
【環境への取組】

サントリーグループが昨年策定した、2030年までにグローバルで使用する全ペットボトルの100%のサステナブル化を目指す「プラスチック基本方針」に沿った取り組みを行う。具体的には国産カジュアルワインを中心に、使用しているペットボトル容器の化石由来原料の新規使用ゼロの実現を目指していく。また、少しデザインを変更することとなるが、分別リサイクルを促進する取り組みとしてキャップシールのミシン目を改良しはがしやすくしたり、ラベルのはがし口をより分かりやすくするなどの改善を行う。

〈酒類飲料日報 2020年1月22日付〉