〈アルコール健康問題にも注力〉
ビール4社の2021年度(1〜12月)の事業方針発表会では、新商品の発表は鳴りを潜め、基幹商品のブランド強化方針が目立った。背景には、「新商品を出しても、コロナ禍で商談や販促がままならないこと」「コロナ禍で(料飲店など)業務用の需要が蒸発しており、業務用と連動したキャンペーンが難しいこと」「各社は数年来、2026年のビール類酒税税率一本化に向けて強いブランドをますます強くする方針であること」がある。

2020年、業務用は壊滅的なダメージを受け、緊急事態宣言下の今なお、それは続いている。業界では、昨年、ビール類の瓶容器は前年比59%強、瓶は同58%弱、その他の酒類を合わせても業務用の酒類市場は6割程度と推定している。

一方で、家庭用の「家飲み」需要が増えたが、酒類市場全体では7%程度のマイナスとみられる。

ともすれば、酒類自体が“悪者”になるような風潮のなかで、メーカーは改めて会社の存在意義を再確認した。「世のため、人のためになっているか? を問い続けた」(キリン布施孝之社長)、「会社はどうあるべきかを突き詰めた一年だった」(サッポロ髙島英也社長)。

今年度の方針の第一の特徴は、各社、基幹商品のブランド力を一層強化することだ。アサヒは「スーパードライ」「ザ・リッチ」、キリンは「一番搾り」「本麒麟」、サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」「金麦」、サッポロは「黒ラベル」「GOLD STAR」といった銘柄だ。スタンダード価格帯と低価格帯で勝負する流れは変わらない。

2つ目の特徴が狭義のビールの強化だ。2020年10月の減税をスタートとして、23年、26年とビールの税率は下がっていく。「本当はみんなビールが飲みたい」(各社)のであり、実際、昨年10月からビール缶容器は大きく前年を超えてきている。サッポロは「ヱビス」シリーズを1月からフルリニューアルして臨む。

第3の特徴が、酒類メーカーとして社会的課題の解決が待ったなしであると宣言したことだ。特にアルコール健康問題の解決には具体的な商品化が示された。「スマートドリンキング」を提唱するアサヒは、アルコール度数0.5%の清涼飲料「ビアリー」を3月に発売する。あくまでも酒類の一つとして提案する。他社が驚いたチャレンジングな商品だが、今後のビール業界の行方を占う重要な商品といえそうだ。
ビール4社の2020年ビール類販売実績と2021年の計画(単位;万ケース、%)

ビール4社の2020年ビール類販売実績と2021年の計画(単位;万ケース、%)