銘酒「真澄」蔵元の宮坂醸造(長野県諏訪市)は5月21日、「真澄 夢殿」「真澄 七號」「真澄 山花」をリニューアルし発売する。

全商品、純米大吟醸に統一したほか、酵母を同社諏訪蔵で1946年に発見された七号酵母をルーツとする“七号系自社株酵母”とした。上槽工程もブラッシュアップし、「夢殿」では袋吊りの雫取りを、「七號」は薮田搾りの中取りのみを製品化した。

5月18日にはオンラインで発表会を開催し、宮坂直孝社長がリニューアルの背景を説明したほか、社長室の宮坂克彦室長と那須賢二統括総杜氏がリニューアルにあたり意識したポイントや苦労話を語った。

宮坂直孝社長はリニューアルの背景について、酒類を取り巻く環境の変化を説明したのち、「これまで、“『真澄』らしさ”を強調する差別化や施策はいずれも不十分で中途半端だった。状況に危機感を抱いており、2017年秋から大改革に踏み切った。大改革を行うに当たり長い間議論した結果“食事に合わせて楽しめる上質な食中酒を造る”という目標に至った」と説明した。

具体策は「7号系自社株酵母への原点回帰」「基本品質のさらなる磨き上げ」「革新的な製法や手法への挑戦」「パッケージデザインの高度化」の4つを掲げる。そのうち「“7号系自社酵母への原点回帰”を最も重要視する」とした。

那須統括総杜氏は酵母について、「選別にあたり、日本醸造協会が頒布している“きょうかい7号酵母”ではなく、何年かかけて自社開発の7号系酵母の選抜を行い、コンセプトに合ったものを探しだした。今後は仕込みの中でテストを行う中でいいものを見つけ出し、より良いお酒を作れるようにしたい」と話した。

〈デザインは「普遍性」重視〉
宮坂勝彦室長は「リブランディングにおいてはパッケージやシンボルマークのマークのデザインにも注力した。当社に入社する以前は海外の販売代理店で仕事をしており、年々伸長する海外の日本酒市場において、難しい日本酒のラベルでは覚えてもらうことができない。そこでシンボルマークを宮坂家の家紋である“蔦の葉”が、銘柄名“真澄”の由来となっている諏訪大社の宝鏡“真澄の鏡”や酒の注がれた盃、諏訪湖に映り込む様子をモチーフとするデザインとした。今の時代にフィットさせるものではなく、長い時間愛される普遍性のあるデザインとした」と説明した。

また、純米大吟醸に統一した理由では「これまで大吟醸商品はコンテストに出品し、金賞を受賞する確率が高いアルコール添加の大吟醸としていたが、今後は純米系が高級酒の中心になると考え純米大吟醸とした。難しい注文だったかもしれないが、製造チームが頑張って良い酒質にしてくれた」と語った。

〈「夢殿」は720mlで1万円に設定、メーンターゲットはファインダイニング〉
宮坂室長と那須統括総杜氏は今回リニューアルした3商品の詳細も説明した。

【真澄 夢殿】(桐箱入り720ml/1万1,000円、以下税込価格)
原料米は以前から使用している兵庫県産山田錦というのは変更無しだが、精米歩合を40%から35%に変更。アルコール度数は16%から15%に。味わいは、より透明感ある味わいに加えて、バナナや桃のようなニュアンスも感じられる。価格は以前の倍近くとなり、販売先も国内外のファインダイニングをメーンターゲットとする。

【真澄 七號】(箱入り1,800ml/1万1,000円、720ml/6,600円、箱なし1,800ml/9,900円、720ml/5,940円)
以前は美山錦を使用していたが、今回のリニューアルで長野県でもごく一部で作られている、特別栽培米の金紋錦を使用。仕込みでは山廃仕込みを採用した。香りはバナナや黄桃のような香りで、「夢殿」よりも味わいがのっている。

【真澄 山花】(箱入り1,800ml/5,500円、720ml/3,300円、300ml/1,485円、箱なし1,800ml/4,400円、720ml/2,640円、300ml/1,100円)
「夢殿」同様に山田錦100%だが、精米歩合は45%で比較的手が届きやすいアイテム。前述2アイテムと違って上槽で特殊な技法は使っていないが、しっかりと純米大吟醸らしい味わいのものとなっている。

〈酒類飲料日報2021年5月21日付〉