サッポロビールは8月24日、「サッポロ WATER SOUR レモン」「サッポロ WATER SOUR オレンジ」(各350ml/税抜141円、アルコール分3%)を発売する。

「無糖」「アルコール3%」で、炭酸水のような感覚で爽快にのどを潤してくれる甘くない低アルコールRTD。米国などで人気のRTDである「ハードセルツァー」に着想を得た「日本生まれのハードセルツァー」。特許出願中の「澄みキレ製法」により、雑味のない澄んだ味わいを実現し、飲んだ後の香りや後味が口に残らずライトな気分で楽しめる。

※RTD=Ready To Drink、チューハイ・サワー等のふたを開けてすぐ飲める低アルコール飲料。

発売前に試飲の機会があり、「レモン」「オレンジ」どちらも頂いた。これまでの低アルコールRTDにはない爽快感とナチュラルな飲み心地が魅力的。もちろん嫌なアルコール感は一切なく、同社が想定している「プライベートの時間を楽しむお供」にも合いそうだ。

流通企業からも商品の新規性や中身特徴を高く評価され、大手スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアでの採用も決まっているという。発売前日の出荷では2021年間販売計画の約4割にあたる約31万ケース(250ml×24本換算)を突破し、これは8月月間販売計画の約1.5倍に相当すると発表されている。

また、同商品の発売も1つの要因となり、同社の今年のRTDカテゴリーの出荷目標数量を上方修正している(986万ケース→1,200万ケース)。

今回は「WATER SOUR」の開発を行った新価値開発部の黒柳真莉子氏と、マーケティングを担当するビール&RTD事業部の市川昇平氏に話を伺った。
サッポロビール 新価値開発部 黒柳氏、ビール&RTD事業部 市川氏

サッポロビール 新価値開発部 黒柳氏、ビール&RTD事業部 市川氏

 
〈どういう動きになるのか把握しきれないのも楽しみな部分〉
まず、「ユーザーにアピールしたいこと」を市川氏に聞いてみると、「まるで炭酸水」「爽快に喉を潤すことができるドリンクであること」の2つを重点的にアピールしていきたいという。「酒類業界では“ハードセルツァー”は注目すべきトピックスの1つとなっているものの、完全に市民権を得ているかどうかは懐疑的だ。そこで“ハードセルツァー”という言葉を使わず“まるで炭酸水なお酒”という価値を重点的に伝えることで、甘くなく、程よく酔えるお酒であることを訴求していきたい」とのこと。
 
最近ではビールや日本酒のように食事との相性が考えられたものが缶チューハイでも多くなってきたが、「WATER SOUR」では前述の通りプライベートの時間を楽しむお供を想定している。もちろん食事と合わないというわけではなく、むしろ甘くないという特徴があるため食事ともマッチするのだが、市川氏は「低アルコールで程よく酔えるのが同商品の特徴。想定しているシーンでの存在感を大きくさせていきたいと考えている。具体的には完全にリラックスしている状態ではなく、本を読んだり動画を見たりゲームをしたり創作活動に勤しんだりという中での飲用を想定している」と話す。
 
メーンターゲットは若年層としているが、より詳しく聞いてみたところ「35歳以下で、日頃から炭酸水を愛飲しているRTDユーザーを主なターゲットとして設定している。ただ、全く新しい価値を持った商品のため、どういう動きになるかは完全に把握しきれていない部分もある。不確定な部分だが、当社としても楽しみなところでもある」と今後の期待も含めて話してくれた。
 
〈「炭酸水感覚」を実現するための味覚開発〉
中味特徴や開発秘話については黒柳氏に聞いてみた。まず「開発期間」だが、「開発期間は企画の段階から起算すると2年ほど」とのことで、新型コロナウイルスの影響があらわれる以前から開発を進めていた。加えて、「当時は今よりもさらに“ストロング系”の存在感が大きく、各社の新商品も9%のものが多かった。しかし各世代の飲酒動向を研究・検討する中で、若年層に“低アルコール”“無糖”にニーズがあるのではないかということで開発がスタートした」という。
 
「アメリカで流行している“ハードセルツァー”も2年前はまだ日本での知名度はゼロに等しかった。だが、清涼飲料市場での炭酸水ブームもあり商機があると判断した。加えて、開発当初は想定になかったが、コロナ禍で健康を意識するお客様も増加している環境下ではピッタリの商品だと考えている」(黒柳氏)。
 
開発を行うにあたって最も苦労したのは「やはり中味の味わいの設計。果実感とすっきり感のバランスやの調整に苦心した」という。「狙いとしては澄んでいてキレのある、スッキリと軽やかに飲める“炭酸水感覚のお酒”を目指して開発を進めた。缶チューハイは足し算で味わいを作っていくことが多いが、“WATER SOUR”の開発はいつもとは反対に引き算で味わいづくりにつとめた。無糖だからこそ実現できるすっきり感と、ほどよい満足感を得られる味わいとなっている」と開発秘話を明かしてくれた。
 
差別化ポイントとしては「スタート地点の違い」や「提供価値の違い」を挙げる。黒柳氏は「無糖の缶チューハイは市場に多く出回っているが、そういった商品のスタート地点はあくまでも缶チューハイ。“WATER SOUR”は“炭酸水感覚”の飲み心地が一番大きな提供価値のため、既存の商品とは全く立ち位置が異なる」と説明する。
 
また、フレーバー展開でも独自性を貫いており、“ハードセルツァー”が生まれたアメリカではベリー系のフレーバーが中心となっているが、日本のユーザーに馴染みのある2フレーバーを選定している。今後の展開についても「缶チューハイ、あるいは炭酸水で人気のフレーバーを採用した商品の投入を計画している」とのこと。
 
最後に、改めて伝えたいことを聞いてみると、「これまで缶チューハイの役割は食事のお供であることが多かったが、“WATER SOUR”は炭酸水感覚で、好きなことを楽しみながら飲めるお酒。今までの缶チューハイとは全く異なる。ぜひともプライベートの時間に、楽しい時間をより楽しくするために飲んでもらいたい」(黒柳氏)、「気分をリフレッシュさせてくれ、お客様が楽しみたいシーンのお供になることは間違いない。また、缶チューハイの中で「食事に合う」という価値はコモディティ化している中で、そうではないシーンにもピッタリという切り口で提案を重ねていきたい」(市川氏)と、それぞれ語った。
 
〈酒類飲料日報2021年8月24日付〉