【国産豚肉の取組み】マエダポーク:豚肉のと畜・解体や豚肉加工品を販売

現場ではスタッフが枝肉から部位ごとにカット
〈通販サイトやブログを運営、食肉加工場の情報発信に取り組む〉

兵庫県の西播磨地域に本社を構えるマエダポーク(兵庫・たつの市、前田英三子社長)は、豚肉のと畜・解体や豚肉加工販売などを行っている。通販サイト(URL=http://www.maedapork.com/)では「食肉加工場が運営する豚肉専門の通販サイト」として精肉や食肉加工品の通販を行うほか、ブログでは豚肉を使った「豚カタロース豆乳鍋」など季節に合わせたメニューを紹介する取り組みを行っている。

同社では、1日当たり平均約150頭を処理する。生産者からの出荷が増える春と秋の処理頭数が多いという。主な売り先はハム・ソーメーカーが中心。同社が豚を買い取り、と畜・解体、販売までを行う事業が大半を占めるが、生産者から委託を受けてと畜・解体のみを行うこともある。

前田江津子常務は最近の流れとして、「生産者がブランド名をつけるなど、顔が見える販売を行う生産者が増えた」と話す。と畜した翌日にカットを行い、基本は全てチルドポークとして出荷・販売している。現場ではスタッフが、枝肉から部位ごとにカットする工程の作業を行っていた。

カット加工は「3年で1人前。枝肉から成型までの工程を全て行うのは10年はかかる」(永本政延営業部長)という。カット工場では、09年に食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000(食品安全)を取得。食品安全についての取組みも進めている。また、豚骨や豚脂、頭部も販売しており、「廃棄する部分はほとんどない」という。最近では、「近隣に住む東南アジアからの技能実習生が内臓や血などを買いに来ることが増えた」という。

前田社長は直近の課題について、「施設の老朽化と人手不足」の2点を挙げている。と畜・解体を行う施設は稼働開始から40年以上経過しているため、「老朽化が進んでいる」という。ただ、衛生管理には注力して取り組んでおり、「しっかりとした商品を届けるのが私たちの仕事」(前田常務)という考えのもと、食肉センター内は築40年以上とは思えないほどきれいに清掃が行き届いていた。

また、前田社長は経営上の課題として、「施設は自社の物件ではなく、食肉センターが所有しているため、改築などの話がなかなか進まない」ことを挙げる。環境を良くすることで、「新たに就業を希望する人が増える。従業員もさらに希望を持って働くことができる」と話す。将来は一般消費者を対象とした直販所なども計画している。

「と畜・解体業があることを広く知ってもらいたい」との考えから、今後もソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、イベントなどを通して積極的な活動を続けていく。

〈畜産日報2017年12月11日付より〉

枝肉

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