HACCPに向け5S活動・一般衛生管理をしっかり行い記録を/全肉連・木村専務

全国食肉事業協同組合連合会・木村元治専務
〈食育への新たな取組みも紹介/日本食肉流通センターが第1回研修会〉
日本食肉流通センターは20日、同センター内で2018年度第1回研修会を開いた。今回は、全国食肉事業協同組合連合会(全肉連)の木村元治専務が「最近の食肉事情と今後の課題」と題し、〈1〉HACCP義務化に向けた取組み〈2〉食育への新たな取組み(DVD上映含む)を紹介した。木村専務はHACCPについて、「3年後には待ったなしで対応が求められる。食肉だけではなく、全ての食品事業者が対象となる。大変だが、HACCPとは何かを理解すれば対応は可能だ」としたうえで、食肉販売業に求められるB基準(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)の概要を説明した。

HACCP方式は、原材料から最終製品までの工程ごとに汚染や異物の混入などの、〈1〉危害の重篤性や発生度合を分析〈2〉特に重要と判断した危害のある工程で、未然防止対策を、連続的・継続的に監視〈3〉記録する――ことで、製品の安全性を確保する。従来の抜取り検査による衛生管理に比べ、効果的に問題のある製品の発生や出荷を未然に防ぐとこが可能となるとともに、原因の追求を容易にするもの。HACCPを導入した施設では、必要な教育・訓練を受けた従業員によって、定められた手順や方法が日常の製造過程で遵守されることが不可欠。衛生管理では、一般的衛生管理の着実な実施が重要となる。食中毒の原因の多くは一般的衛生管理の不備であり、食品の安全性確保には、施設設備、機械器具などの衛生管理、食品取扱者の健康や衛生の管理などの一般的衛生管理を着実に実施することが必要になる。そのうえで、HACCPによる衛生管理の手法を取り入れることになる。

木村専務は、衛生管理の基本的な考え方として「一般衛生管理が基本であり、HACCPは独立したシステムではない。いわば一般衛生管理は“あんこ”で、HACCPは饅頭の皮であり、形を崩さず、よりおいしくするため、包み込むものと考えるべき」と述べた。

また、A基準のHACCPに基づく衛生管理、B基準のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理があり、食肉販売業はB基準が適用されるが、「B基準の場合、まず、今までの一般衛生管理をしっかり行うことが基本。そのうえで、HACCPによる衛生管理の手法を取り入れる。具体的には食肉業界団体が作成した手引書をベースに、〈1〉計画の作成〈2〉実行〈3〉記録――を行う。いまから5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣)活動の一般衛生管理をしっかりやっておくべき」と指摘した。

食育の取組みでは、「酪農では10数年前から食育に取組んできたが、食肉では取組みが遅れていた。野菜、魚は新鮮なうちに店頭に並び消費者に買われる。だが、牛・豚・鶏は肉へと変わる。命をいただく大切さ、生産・食肉処理・販売と多くの人達が関わって食卓に届く食材であり、食に感謝するには最適な食材」と、食育教材「お肉が食卓に届くまで」を作成した経緯を説明した。その後、一般消費者向け食育教材DVDを視聴した。

〈畜産日報 2018年7月24日付より〉