日本食肉市場卸売協会(杉本正会長)は24日、ホテルジュラクで「第36回経営トップセミナー」を開催した。セミナーでは食肉市場のHACCP制度導入への対応について、東京食肉市場、飛騨ミート農業協同組合連合会、群馬県食肉卸売市場がそれぞれの取組を紹介した。開催にあたり杉本会長は「卸売市場法、食品衛生法の一部改正によりHACCP導入義務化となった。実質3年間の猶予はあるが、長い期間ではない。HACCP導入への取り組みについて、3者から話題提供してもらう」とあいさつした。

〈東京食肉市場は18年度中の導入予定、記録への慣れが重要、温度管理システムを導入〉
東京食肉市場の中島和英常務取締役は、東京都中央卸売市場食肉市場における現状を説明した。中島常務は「東京では2018年度中のHACCP導入を目指している。義務化もあるが、東京では19年ラグビーワールドカップ、20年東京五輪を控え、外国要人来日時においしい牛肉・豚肉を提供できるようにも、最低限の国際基準のHACCP導入をしていなければならない。外資ホテルはじめHACCP導入を気にしている。輸出に向けても必要となる」と述べた。
東京食肉市場・中島和英常務取締役

東京食肉市場・中島和英常務取締役

取り組みとしては15年に東京食肉市場HACCP推進会議を設置し、市場内の統一ルール作りに着手した。はじめに市場全体の衛生管理状況を把握することにより、HACCP導入における問題点を明らかにして改善提案を行うために、事前調査を行い、調査報告を受け導入に向け、推進委員会、16年には社長直轄の品質管理室を設置した。取り組み当初の実情は、勘や口伝え、昔からのやり方、個人のルールなど、科学的根拠に基づいた衛生管理手法には見えない状況だったとした。

具体的な取り組みとしては、出勤、退社を書き出す作業からスタートし、5S活動では、清掃から始め、泡洗浄や、HACCP対応型ブラシ、ATP拭き取り検査、床洗浄機などを導入した。清掃も当初は、めんどくさがられたが、小さな成功体験により、清掃意識が改善された。記録についても、小さな記録をすることを少しずつ積み重ねることで、記録することに慣れさせることが重要だとした。出社時の体調管理の記録からはじめ、半年後にはクリーンエリアへの入退室チェックへの記入もできており、検便の実地もできているとした。

温度管理では、はじめに冷蔵庫温度分布のばらつきを確認し、現在は24時間のクラウド型温度監視システムを導入、管理基準、作業基準設定のデータ収集を行っており、稼働準備中だとした。枝肉では搬入、セリ前の冷やし込みもあり、枝肉表面温度を確認する機械を導入している。

また細菌検査室を設置し、一般生菌数、大腸菌数、大腸菌群を検査できる設備を有している。異物検査用には実体顕微鏡を導入している。

進捗状況としては、〈1〉標準作業手順書(SOP)の各種マニュアル〈2〉衛生標準作業手順書(SSOP)記録〈3〉食品安全プラン〈4〉文書管理と記録〈5〉内部監査プログラム――は完成、一部運用しており、残りは市場内統一ルールが調整中だとした。8月中旬には統一ルール調整案が上程され承認される予定で、年度内のHACCP導入に向け、東京市場10団体で一致団結して取り組んでいる。

〈畜産日報 2018年7月26日付より〉