農水省は9月9日、岐阜市の養豚農場で豚コレラの患畜が確認されたと発表した。10日午前5時17分現在で殺処分は完了している。殺処分完了後、埋却、汚染物品処理・消毒をもって防疫措置完了となり、防疫措置完了後28日間で終息となる見込み。国内での豚コレラ発生は 1992年に熊本県で発生して以来 26年ぶりの発生となる。

養豚場(繁殖豚79頭、肥育豚531頭)では3日に飼養豚が死亡していることを岐阜県に報告、検査を実施し、その時点では豚コレラが否定されたことから経過観察となった。5日に養豚場で異常が収まらないことから同県が検査を実施したが、豚コレラを疑う結果とはならなかった。ところが7日、当該農場では異常が引続き認められることから、同県が改めて検査を実施したところ、豚コレラを否定できない結果が得られた。このため、同県が再度、中央家畜保健衛生所において検査を実施し、豚コレラの疑いが生じたため、農研機構動物衛生研究部門で精密検査を実施したところ、9日に患畜を確認した。精密検査を実施した結果、中国で続発しているアフリカ豚コレラの感染でないことを確認している。

岐阜県では、9日から殺処分、掘削、埋却作業を開始し、10日午前5時17分に殺処分を完了した。同時に農場周辺では消毒ポイントの設置、交通規制を実施している(本紙9面に関連資料)。県畜産課によると、発生した農場は個人経営で、主に近隣の食肉センターへ出荷していたという。県では家畜保健衛生所の担当者をセンターへ派遣し、消毒の徹底など指導しているという。さらに、県内の全ての養豚農家(51戸)に聞き取り調査を行い、異常がないことを確認している。防疫処置が完了後に地域住民に対する説明会も開く予定だ。

農水省は9日、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づき、豚コレラ防疫対策本部を開催し、〈1〉当該農場の飼養豚の殺処分及び焼埋却、移動制限区域(発生農場から半径3km 以内)の設定など必要な防疫措置を迅速かつ的確に実施〈2〉移動制限区域内の農場について、速やかに発生状況確認検査を実施〈3〉感染拡大防止のため、発生農場周辺の消毒を強化し、主要道に消毒ポイントを設置〈4〉県との連携の確認のため、野中農水副大臣を岐阜県に派遣〈5〉感染状況、感染経路などを正確に把握し、的確な防疫方針の検討を行えるようにするため、農水省の専門家を現地に派遣〈6〉岐阜県の殺処分・焼埋却などの防疫措置を支援するため、必要に応じ、各地の地方農政局、動物検疫所、家畜改良センターなどから緊急支援チームを派遣〈7〉感染経路などの究明のため、国の疫学調査チームを派遣〈8〉全都道府県に対し、本病の早期発見及び早期通報の徹底を通知〈9〉関係府省と十分連携を図るとともに、生産者、消費者、流通業者などへの正確な情報の提供に努める――といった今後の防疫措置について対応方針を決定した。

〈防疫上はコントロールしやすい、水平感染の可能性は低い〉
養豚農場のバイオセキュリティの高低や感染経路などは、農水省疫学調査チームの調査・報告を待つことになる。ある獣医師は「豚コレラは、いのししを媒介として感染するもので、ダニ類を媒介とするアフリカ豚コレラや、広範囲に飛び回る野鳥を媒介とする高病原性鳥インフルエンザ、それに空気感染がある口蹄疫と違って、感染経路がかなり限定される。いざ、という時にはワクチンもあり、防疫上はきわめてコントロールしやすい動物疾病といえる。発生農場だけで封じ込めることができれば、(当該農場を起点として)水平感染する可能性は極めて低い」と話している。

だが、一時停止措置となっている輸出再開の動きが気になるところだ。農水省は、発生状況や防疫措置の進ちょく状況など、輸出相手先に対して逐次情報提供している。豚コレラは、高病原性鳥インフルエンザよりも「ウイルスを封じ込めやすい」(専門家筋)というものの、発生が久しくなかったことから、輸出相手先がどのような受け止め方をするのかは読めない状況だ。農水省動物衛生課は、「加熱加工品の優先的再開や、地域主義の導入などあらゆるオプションを使って、できるだけ多くのアイテムを輸出可能な産品として扱ってもらえるように交渉する」と話している。

〈畜産日報 2018年9月11日付より〉