〈病性鑑定は当面、蛍光抗体検査、PCR検査の両方で実施〉
農水省は10日、牛豚等疾病小委員会(津田知幸委員長)を開き、9日に岐阜県で発生した豚コレラの疫学調査チームの現地調査結果や、今後の防疫方針について議論した。

小川良介審議官は「8日に岐阜県から同県養豚場において豚コレラの感染を否定できないとの通報があり、検査を行い9日未明に豚コレラの発生を確認した。対策本部を実施し、豚の殺処分、移動制限区域の設定など防疫措置を迅速かつ的確に実施すること、感染経路など究明のため国の疫学調査チームを派遣することなどを決定した。発生農場での防疫措置の進ちょく状況、9日に実施された疫学調査チームの調査結果の概要について説明した」とあいさつした。小委員会後に、行われた記者向けブリーフィングでは津田委員長が、発生事例の概要、9日に実施した疫学調査チームの調査概要を説明した。

疫学調査では、豚コレラウイルスの侵入推定日が特定できていないことから、ウイルス侵入時期を幅広く推定し、関連農場の特定、発生原因の究明のために継続して疫学調査を行う。関連農場の監視では、発生農場と関連のある農場を監視対象農場とし、豚コレラ陰性が確認されるまでの間、清浄性確認検査を実施する。検査陽性となった場合は、豚などの移動制限、詳細な検査などを実施する。

病性鑑定では、実施された蛍光抗体検査とPCR検査の結果が一致しなかったことから、今後は全国で実施している病性鑑定において、当分の間、両方の検査を実施する。加えて、豚コレラを疑う臨床症状が確認された場合、併せてアフリカ豚コレラの検査も実施する。原因となったウイルスについては、農研機構でウイルス分離を進めており、性状解明により、感染経路の推定が可能になるとした。検査結果が一致しなかったことについても解明に努めるとした。

〈感染経路は餌の可能性、封じ込めにより感染拡大を防げる〉
疫学調査チームの9日の調査概要によれば、周辺環境は、養豚場が密集していない地域で、山林に囲まれた平野部に位置し、一般道路に接し、農場の敷地にはフェンスなどはなく、豚舎は直接道路や田畑に隣接。豚舎は2階建の豚舎1棟で、飼料タンクと堆肥置き場が隣接しているとしている。

農場の管理は農場主が行い、従業員雇用はなく、夫婦で管理している。管理者は飼養豚への飼料給与、豚舎の清掃などの飼養管理の他、母豚への人工授精の実施、肥育豚の出荷、堆肥の運搬なども行っていた。なお管理者の海外への渡航歴は認められなかった。津田委員長は「26年間国内で豚コレラが無かったので、入ってくるなら国外からになる。しかし管理者は渡航歴を含め、国外との接点が認められなかった」と述べた。

当該農場の飼養衛生管理については、踏込消毒槽、動力噴射器が設置され、車両消毒も実施されており、獣医師専用の長靴も整備されていた。飼料タンクは数日前に飼料搬入口のふたが破損、降雨により飼料が濡れたため全量を廃棄していた。また飼養豚に異常が認められていたことから、新たな搬入も停止していたため、タンク内は空であった。農場での糞便は農場内の堆肥舎に運搬され、およそ週1回、農場が所有する運搬車で共同堆肥場に運搬されていた。なお死亡豚についても、農場内の堆肥場に運ばれ、糞便と混ぜられた後、共同堆肥場に運搬されていた。共同堆肥場では入口には消毒用消石灰が散布されたが、出口では行われていなかったとしている。立入調査時には一部の飼養豚の殺処分が開始されていたが、未処理の豚では明らかな異常は確認されなかった。

津田委員長は感染経路について「感染した豚との直接接触、汚染した餌や肉を豚が食べる、ウイルスが入った注射が考えられる。その中で餌、飼料は輸出入の検疫を受けている。しかし飼料原料を一度精査する必要がある。市販飼料以外にも何か添加していたかを調査する必要がある。加えて給餌時に何かしら混入した可能性もある。現時点では餌の可能性が高いのではないか。食べなくても、舐めることでも感染する可能性がある。経口感染の可能性が傾向として多い。今後は封じ込めにより、感染拡大を防げる」と述べた。

〈畜産日報 2018年9月12日付より〉