日本ハム・ソーセージ工業協同組合協力商社会が第78回例会、「時代の変化を追い越し先導を」と川村会長

日本ハム・ソーセージ工業協同組合協力商社会 川村洋三会長
〈HACCP で来年2月にも手引書、小規模業者の線引きに注目/宮島組合専務〉
日本ハム・ソーセージ工業協同組合協力商社会(NSK会、会長:川村洋三川村通商社長)は16~17日、栃木県日光市内で第78回例会を開いた。例会では日本ハム・ソーセージ工業協同組合の宮島成郎専務が生産状況、HACCP制度化に対する取組み状況、経済連携協定などの動向などについて講演した。

川村会長は、「昨年のこの時期は、トランプ大統領が来日するなど様々な場面で動向が注目されていたが、先日、中間選挙が行われ、その結果が米国にどう影響するか、ますます注目が集まっている。日本とはTAG交渉がまもなく始まり、日本市場の開放に向け強い圧力がかかると予想される。日EU・EPAも19年の早い時期に発効、その前にTPP11が発効されるなど、いよいよ世界の自由貿易の波に飲み込まれることになる。どのように受け止め対応するのかが課題となる。外国人材の緩和の背景には、働き手の減少、消費者が減少し市場が縮小することがある。国内市場のみでは業容の縮小を余儀なくされる。大手企業は国際化への戦略が問われる。今回の中間決算では、多くの企業が減益を余儀なくされた。売上げや生産は増加基調だが、ほかの食材との競合、消費者が価格に敏感になっていることで価格が下落基調をたどり、収益は厳しくなっている。前期は、食肉事業で業績が拡大したが、今中間期は豚肉・鶏肉とも不調だった。サラダチキンは新しいカテゴリーとして出来上がったと考えられるが、今期は一服し、鶏肉が豊富に供給される中で相場が下落し食肉部門は苦戦した。一方で人手不足から労働者確保へ、運賃などの値上げが続き製造原価を押し上げている。相次ぐ天災、台風21号や北海道胆振東部地震で大きな被害があった。山陽、四国に被害があったほか、大阪南港も相当な被害があり物流にも影響し、これも収益に影響した」と業界環境を振り返った。

その上で、「食品では、簡便、健康、女性・高齢者の3つのキーワードが上げられ、これに合致したサラダチキンが伸びた。現在、成人の70%が職を持ち、人口減少のなかで女性・高齢者、外国人の労働力を組み合わせないと経済は維持できない。家事への時間は少なくなり、簡便食材が不可欠。我々も必要な商材供給や機械化に取り組む必要がある。皆さんには、この時代の変化に追いつき追い越し先導していただきたい」と、協力会の役割を強調した。

宮島専務は講演の中で、HACCPへのハムソー業界の取組みについて、「HACCP制度化の中でHACCPに基づく衛生管理(コーデックスの7原則に基づき実施、いわゆるA基準)に取組むことが困難な小規模事業者向けに、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理対応(いわゆるB基準)を行う際に参考となる手引書を作成している。すでに作業部会を立ち上げており、今後、作業部会や厚労省の技術検討会などを踏まえ来年2月以降に手引書の印刷・配布を行う予定」と説明した。ただ、作成中の手引書では、「50人を節目にそれ未満を小規模事業者としているが、この線引きは厚労省が決めるとしており、その結果が注目される」と述べた。

〈畜産日報 2018年11月21日付より〉