〈省力化に資する技術導入を支援、新たな飼養衛生管理基準対応へ貸付を新設〉
農水省は23日、畜産課長会議を開催し畜産企画課からは、新たな外国人材の受け入れ制度、消費税軽減税率制度、個人版事業承継制度、畜産クラスター事業について説明された。畜産振興課は畜産経営生産性向上対策事業、ALIC(農畜産業振興機構)事業などの事業説明、和牛精液など適正管理の取組みなどについて説明した。

畜産企画課は、新たな外国人材の受け入れ制度について、在留資格が技能実習生は実習目的なのに対し、特定技能1号では就労目的であるため、即戦力として活用できるとした。農業分野では畜産農業全般での従事が可能となり、深刻化する人手不足に貢献できるとした。ただし前提として、女性の社会進出や高齢者人材の活用が前提となるとした。軽減税率制度については、10月から実施され、2023年の10月からはインボイス制度が実施されるなど、複雑化する制度について改めて説明した。

個人版事業承継制度については、個人事業者の集中的な事業承継を促すため、後継者が事業用資産を先代から承継した際、贈与税・相続税の負担を軽減する制度で、上限はあるものの土地・建物、機械・器具備品、車両・運搬車、生物も対象となる制度で、畜産関連では繁殖用雌牛が減価償却資産となるため対象となるが、そのまま販売する肥育牛は対象外になるとした。後継者の事業承継時に、対象資産の納税額の金額(100%)が納税猶予されるため、現金負担が軽減される。28年12月31日までの時限措置となっている。

畜産クラスター事業については、環境優先枠を新たに設け、畜産環境対策の取り組みに必要な家畜排せつ物処理施設の整備について、優先的に採択・配分するとし、また地方公共団体が整備する共同利用家畜排せつ物処理施設を支援対象に追加するとした。

畜産振興課では、31年当初予算において畜産経営体生産性向上対策事業として、肉用牛農家や酪農家の労働負担軽減・省力化に資するロボット・AI・IoTなどの先端技術の導入、畜産農家の高度かつ総合的な経営アドバイスを提供するためのビッグデータ構築を支援する。肉用子牛では24年に出生頭数54.7万頭(17年は51.7万頭)を政策目標とし、予算概算決定額は30億円だとした。

畜産GAP拡大推進加速化事業では、日本の畜産の競争力強化を図る観点から、日本版畜産GAPの普及・推進体制の強化を図るための指導員などの育成、GAP認証取得、GAP認証取得の準備段階の取り組みとなる、GAP取得チャレンジシステムの普及などの取り組みを支援する。概算予算決定額は1.8億円だとした。

ALIC事業では堆肥舎など長寿命化推進事業として、家畜排せつ物処理施設の経年劣化の実態調査、長寿命化のための地域の実情に応じた補修の実証を行うための取り組み、補修マニュアルの作成を支援する。また畜産高度化支援リース事業では、畜産環境対策リース事業を新設し、家畜排せつ物の処理や新たな飼養衛生管理基準への対応に必要な施設などの貸付を行い、補償保険料、損害保険料を支援する。畜産環境対策リース事業は13億円の貸付枠だとした。

加えて、和牛精液などの適正な流通管理の徹底について説明した。各県に対し、全国の家畜人工授精所に対して実施している、精液・受精卵の流通・管理状況の把握を行うアンケート調査への協力呼びかけ、回収の協力を要望した。合わせて、各県管内の家畜人工授精所の稼働状況の確認も要望した。そのうえで、精液や家畜人工授精などは、実施者や実施場所など必要な規制が設けられていることの周知徹底を求めた。

OIEにおけるアニマルウェルフェア指針に対する日本のコメントについて説明した。肉用鶏については、昨年11月OIEから営巣と止まり木の設置を必須とすることが議事案とされているが、義務化は日本の実情、科学的知見からも適当ではないとする、意見を提出しているとした。採決までは時間に猶予があるものの、ポイントを押さえて国としてコメントを出していくとした。

豚のアニマルウェルフェアは昨年5月に、飼養衛生管理指針が採択されており、畜産技術協会で改定作業を進めているとした。アニマルウェルフェアの問題は、日本の気候・風土、実態に合わせたうえで進める必要があるとした。

〈畜産日報 2019年1月28日付〉