〈殺処分対象は1,771頭、ハード・ソフト両面で改善点を検証〉
農水省は29日、岐阜県各務原市の養豚農場で豚コレラの疑似患畜が確認されたと発表した。岐阜県での豚コレラ発生は7例目。発生農場では繁殖豚127頭、肥育豚1,535頭、計1,622頭を飼育し、28日に豚舎内で咳をする豚や、発熱を呈する豚が多いとの農場からの報告を受け、家畜防疫員が立ち入り検査を実施、中央家畜保健衛生所での検査により豚コレラの疑いが生じ、精密検査を実施したところ、29日午前7時に疑似患畜を確認した。

豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づき、当該農場の飼養豚の殺処分、焼埋却、移動制限区域の設定、消毒ポイントの設置などの防疫措置などを実施している。なお飼養豚の殺処分、焼埋却に関して岐阜県は自衛隊に災害派遣要請を行い、措置に努めている。発生農場から半径3km 以内の移動制限区域に対象農場はなく、半径10km 以内の搬出制限区域には2農場(1,172頭)と、岐阜市のと畜場が含まれている。移動制限区域は防疫措置完了後28日間、搬出制限区域・消毒ポイントは17日間を経て解除される。

と畜場に関しては、当該農場から搬入された17頭、同一係留場に収容されていた132頭の計149頭も処分対象となるため、今回の殺処分対象は合計1,771頭となる。と畜場では29日のと畜・セリ業務を行ってから防疫措置を実施する。防疫措置完了後に国と協議を行い、搬入・出荷を再開する。発生農場と交差する可能性のある5農場においては、病原体を広げる恐れのある物品の移出禁止、立ち入り検査を実施し、国との協議を行い出荷再開となる。

29日午前に農水省内で記者向けブリーフィングが行われ、同省は現地に疫学調査チームを派遣し、初動での拡大防止、ウイルスの侵入原因究明に努めるとした。動物衛生課の熊谷法男課長は「6例目から1カ月以上経っている。柵などのハード面、飼養衛生管理基準などのソフト面の両面で指導してきた。遵守状況、岐阜県の指導状況、調査チームの報告を踏まえ、点検すべき点などを検証していきたい。愛知県下では、野生イノシシでの豚コレラ陽性事例が見られるが、飼養豚農家への侵入は許していない。さまざまな事情を分析しながら、これまでの指導のハード面、ソフト面での改善点を検証していく」と述べた。

EU向け輸出に関しては「豚コレラ対策、発生がないことが前提条件として評価される。地域制限もあるかもしれないが、日本全土として評価を受ける必要がある。、豚コレラ清浄化ステータスを得てから、EU側と交渉となる。輸出に関し、鶏肉関連は、鳥インフルエンザが過去1年間発生していないことが要件とされているため、まだ要件を満たしていない」と述べた。野生イノシシ向けワクチンについては「欧州各国での使用状況、使用時のレポートなどの情報収集、分析を行っている。ワクチン使用を念頭に置いた調査ではあるが、使用しない判断もある。使用した際のメリット・デメリットを考え検討する」と述べた。

吉川貴盛農水大臣は29日午前の閣議後の記者会見で輸出に関して「日EU・EPAが発効されるが、牛肉以外では、卵及び卵製品、乳及び乳製品について25日にEU加盟国の承認が得られた。事務手続きを経て輸出が可能になる。一方で豚肉・家きん肉については豚コレラ、鳥インフルエンザの発生がある。引続き協議を進めていく。厚労省と連携しながら、早期輸出実現に向け、積極的取り組んでいかなければならない」と述べた。