第40回「食品産業優良企業表彰」、ニチロ畜産・グローバルピッグファームに農水大臣賞/食品産業センター

表彰を受けるニチロ畜産・菊池英夫社長
〈平成30年度「優良ふるさと食品中央コンクール」と合同表彰式〉
食品産業センターは12日、第40回食品産業優良企業表彰(共催:食品等流通合理化促進機構、後援:農水省)と平成30年度優良ふるさと食品中央コンクールの合同表彰式を開催した。

小瀬昉会長は「優良企業表彰された皆様は、大きく経営環境が変化する中で、日夜創意工夫あるいは食品産業の発展と地域の振興に多大な貢献をされた方ばかり。またふるさと食品を受賞された方は、各地域の食文化、地域の特産原材料、斬新なアイディア、新しい技術などを活用され、ふるさと食品にふさわしい食品を開発された。あらためてこれまでの皆様のご努力とご精進に対し、心からお喜び申し上げる」とあいさつした。

食品産業優良企業(本紙「畜産日報」関連を抜粋)では、
▽ニチロ畜産:食品産業部門(農商工連携推進タイプ)
▽グローバルピッグファーム:同(経営革新タイプ)
▽マリンフード:同
▽日本水産:CSR部門
▽小林和人代表取締役社長(大多摩ハム):マイスター部門

――が農林水産大臣賞を受賞。そのほか、キンセイ食品が農林水産省食料産業局長賞のCSR部門を受賞した。

ニチロ畜産では、「北海道産ソースとんかつ」「国産ビーフソースかつ」など地元である北海道産原料を使った商品の開発を積極的に実施。また、全道から食肉として供給される乳用牛の約35%を自社工場の「名寄工場」「十勝工場」で扱い、と畜・解体からその後の加工までを自社で一括管理しており、安定した原料の確保および安全性の管理に努めている。さらに、名寄市立大学や北海道大学で乳用牛の再飼育を研究材料として取り上げてもらい、そこで得られた知見を酪農家にフィードバックするなど、生産者への技術指導や農業への支援を行っている。これらの取組みなどが農商工連携の推進を図るものとして評価され今回の受賞となった。

グローバルピッグファームは、1983年に全国各地の家族経営の養豚農家44戸が共同出資して設立された養豚生産者が経営する会社。「日本一おいしい豚肉をつくろう」を合言葉に種豚の育種から生育環境、飼料配合、食肉処理、流通(食卓)に至るまで、前例のない「ポークチェーン(養豚における6次産業化)」を展開し、安全・安心でおいしい豚肉を届けるための努力している。また15年には自社運営の食肉センター(100%子会社、しばたパッカーズ)が稼働し、各農場は直売または特定問屋ルートを通じて小売店や消費者へ届けることを可能にした。生産農場から食肉処理、流通・販売までを一元管理することで、ポークチェーンをより信頼のあるものに高めたとし、その功績が認められた。

大多摩ハムの小林社長は、1983年にドイツ式ハム・ソーセージ製造技術を習得するため、ドイツ・ケンルン市食肉組合長フロイツハイム氏の元に留学し研鑽を積んだ。以来30年以上食肉加工業に携わり、創意工夫と旺盛な研究心から革新的な商品開発に注力している。16年には、金型とシリコンの二重構造の型によって立体的なソーセージの製造に成功し、これに3D技術を用いることで、これまで困難とされていた食肉加工品の造形食品であるTOKYO-X3Dソーセージ「ローズパステート」の商品化を実現し、特許を取得した。

また、04年には日本ハム・ソーセージ工業協同組合の理事に就任するなど、豊富な経験を活かして食肉加工業界の発展に尽力していることから、マイスター部門での受賞となった。

とんかつなどの業務用冷凍食品の製造を行うキンセイ食品は、農林水産省食料産業局長賞のCSR部門を受賞した。横浜市に本社を構える同社では、14年からよこはまグットバランス賞認定企業に認定され、16年には3回目の認定を受け「ブロンズ賞」を受賞、「社員が幸せになる会社でありたい」をキャッチフレーズにライフ・ワークバランスの整った、生き生きと長く働ける環境づくりに取り組んでいる。さらに、地元企業との共生、地域住民の雇用に貢献していることから、横浜型地域貢献企業として14年、16年の2度、最上位認定されている。消費者対応やコンプライアンス体制、食の安全・安心確保対策などへの取組みも評価され、CSR部門での受賞となった。

一方、優良ふるさと食品中央コンクールの国産畜水産品利用部門では、ナンチクの「黒さつま鶏の生ハムスライス」が農林水産大臣賞を受賞した。「黒さつま鶏の生ハムスライス」は、鹿児島県の黒牛、黒豚に続く“第三の黒”として注目されている「黒さつま鶏」のムネ肉を使用している。黒さつま鶏の特徴である、瑞々しく弾力のある肉質により、生ハムのまろやかな塩味の中にも、鹿児島の郷土料理である「鶏刺し」のようなレアな食感を味わうことが出来る商品に仕上がっている。

〈畜産日報 2019年3月14日付〉