全国牛肉事業協同組合が創立30周年記念式典開催、関係者に感謝状贈呈

〈担い手が希望を持てる環境を整える、組合員の8割は後継者を確保〉
全国牛肉事業協同組合は28日、創立30周年記念式典を開催し、組合の発展に貢献した関係者に感謝状が贈られた。

開催のあいさつで山氏徹理事長は「組合は平成元年に全国の意欲ある肉用牛農家が参集し創立された。以来30年、牛肉自由化やBSE、口蹄疫、東日本大震災など経営基盤を根底から揺るがす苦しい経験をしてきた。その都度、政府・自民党が一体となり迅速かつ適切な対応策を打ち出していただいた。

政府・自民党は60年ぶりの農協改革、農業競争力強化支援法制定など改革を実現していただき、マルキンの法制化、補てん率の引上げ、肉用子牛保証価格の実情に則した見直しなどの経営安定対策の充実、収益性向上対策など幅広く手厚い関連対策を講じていただいた。新規参入者や担い手が希望をもって畜産経営に取組める環境を整えていただいた」と述べた。また、現在の組合について「約1,000人の組合員のもと、日本の肉用牛生産の3割を担うまでに発展した。組合の情報発信力、家族経営を中心とした畜産農家の経営力向上の取組などの評価をいただき、離島を含む新たな担い手を中心に新規申込者が続いている。最近の調査では組合員の8割で後継者が確保されている。新たな担い手の育成は組合の課題であり、全力で取り組みたい。肉用牛生産は家族経営が基本であるとの認識のもと、一体となり肉用牛生産基盤拡大に向けた環境作りに努めていく」と話した。

吉川貴盛農相は来賓あいさつで「設立以来、全国の先進的な肉用牛経営者の団体として日本の肉用牛生産の発展に貢献してきた。動産担保による資金調達手法の導入にいち早く取り組み、経営規模拡大や収益性向上に貢献し、肉用牛の生産基盤強化に重要な役割を担ってきた」と評した。そのうえで、畜産を取り巻く環境について「新たな段階を迎えているが、引続き生産基盤の強化に取り組んでいく。将来に渡り国産畜産物の需要を安定的に確保するうえで、重要な輸出は、牛肉を筆頭に堅調に伸びているが、輸出先国での輸入規制緩和・撤廃に向けた交渉を積極的に進めるなど、国産牛肉の輸出拡大に向けて政府一体となって全力で取り組んでいく。人口減少や市場縮小、農林者の減少・高齢化進行、グローバル化の進行など国内外で環境変化が生じ、日本の農林水産業は転換期を迎えている。農林水産業を次世代に継承するには、時代の変化を見通し、常にフロンティアを見出し、新たな挑戦を進めることで、農林水産業を若者が夢や希望を託すことができる魅力ある成長産業にしなければならない。道あれば道あり、これまでに挑戦した改革の成果を生産現場に根付かせ、農林業者の努力が報われる産業にするという信念のもと、現場主義を貫き、攻めの農林水産業を展開していく」と述べた。

式典では、組合の発展に貢献した関係者に感謝状が贈呈された。▽農林大臣感謝状=中林正悦副理事長、佐藤寿男副理事長。▽農水省生産局長感謝状=佐々木信弘副理事長、大原篤監事。その他にも、組合理事長感謝状が強力企業や特別功労役員、永年勤続役員、優良組合員、永年勤続職員に贈られた。

式典に続き、記念講演では自民党の小泉進次郎衆議院議員(自民党厚労部会長、前農林部会長)が「令和を『変革』の時代へ」と題し、自身の農林部会長としての取り組みや、厚労部会長としての取組みを紹介。人口減少と人生100年という、ニューフロンティアの時代において、22世紀を見据え変革し続けることが重要だとした。農業でも、日本の1億人市場だけではなく、100億人(将来の世界人口)の市場に目を向け、変革とイノベーションが進んでいるとした。その上で、農林水産物・食品輸出プロジェクトであるGFPを紹介し、農家が輸出を行う際の橋渡しとなるコミュニティサイトだとした。輸出診断を無料で受けることが可能で、輸出希望商品を輸出商社に紹介でき、自らが輸出手続きを行わずに、速やかな輸出ができるとした。

小泉進次郎衆議院議員

小泉進次郎衆議院議員

〈畜産日報 2019年5月31日付〉