〈「ワクチン接種、イノシシ経口ワクチン、両面での防疫が撲滅への道」/呉代表理事〉
日本養豚開業獣医師協会(JASV、呉克昌代表理事)は6月7日、東京都内で記者会見を開き、これまでの豚コレラ対策への対応と、期間限定・地域限定の豚コレラワクチン実施への要望について説明した。当日は呉代表理事のほか、豚コレラが発生した愛知・田原市で動物クリニックを経営する伊藤貢理事が出席した。

同協会は3月にイノシシ陽性エリアの地域限定・期間限定の緊急ワクチン接種の要望書を農水省消費・安全局長宛に提出している。

要望書では、地域限定(イノシシ陽性エリア)、期間限定での養豚場への豚コレラワクチン接種による、豚とイノシシの両面からの豚コレラウイルスの封じ込めを実施することを要望した、と説明。さらに、養豚場での豚コレラワクチン接種の要件として、

〈1〉地域はイノシシでの豚コレラ陽性エリアとする
〈2〉期間はイノシシでのワクチン投与期間を参考とする
〈3〉接種については地域内全養豚場の全頭に一斉接種後、母豚年1回、候補豚1回、肉豚1回
〈4〉と畜場では豚コレラワクチン接種豚の専用と畜場でのと畜
〈5〉イノシシ豚コレラ陽性エリアの境界道路への、畜産関係車両のための消毒ポイントの設置

――の検討を要望したとした。

呉代表理事によると、ワクチン接種の期間については「イノシシでの拡大が収まったという段階までは(対象地域の豚への)ワクチン接種は必要になるため、年単位にはなるのではないか」とし、「現在、イノシシでの感染がまだ盛んな中、飼養衛生管理基準の全てを守ればウイルスの侵入防止ができるのか、確証はない。物理的に不十分な部分もあり、飼養衛生管理基準だけで完璧に防ぎきるのには無理がある」と指摘。

また、現在実施されている野生イノシシへの経口ワクチンについては、「農水省・豚コレラ経口ワクチン対策検討会に出席した。散布した地域では効果が見られているが、散布地域以外では感染が続いている。夏季以降の散布では、現在の倍以上の地域で実施する必要があるのではないか。初めての取組みなので学習時間が必要だが、今後も継続する必要がある」とした。

さらに、「豚コレラが発生した農場で経営を再開できた農場は1件もない。ワクチン接種への決断が遅れれば遅れるほど、拡大が広がるという懸念がある。豚へのワクチン接種に加え、野生イノシシへの経口ワクチンと、両面で防疫を図ることが豚コレラ撲滅への道だと考えている」とワクチン接種の実施を訴えた。

〈畜産日報 2019年6月11日付〉