〈令和元年7月下旬の豚肉需給〉出荷減も長引く末端不振で豚価下落に、来月は反転の期待も

7月28日の東海地方に続き、29日には関東地方も梅雨が明け、東北を残すのみとなった。気象庁によると、今年は概ね1週間から10日ほど平年より梅雨明けが遅れており(前年比では関東で最大30日遅れ)、この間の全国的な長梅雨が食肉の消費低迷の大きな要因となったといえる。とくに豚枝肉相場は、「海の日」以降、1日当たりの全国出荷頭数が6万頭台半ばまで落ちているが、それでも6万頭割れが続いた前年のこの時期よりは多めにあることも、豚価格の低迷につながったようだ。

こうした長梅雨による消費低迷とやや多めの出荷動向により、例年であれば中旬以降に強含みで推移する枝肉相場も、先週後半には上物税抜き430円がらみの相場となっている。週明けの29日も関東3市場平均で税抜き444円の続伸となったが、それでも前年より200円弱安値での週明けとなった。

もっとも、ようやく梅雨が明けたことで、末端消費も徐々に正常化すると予想されており、8月は出だしこそ安値でスタートしたとしても、猛暑などの影響で出荷頭数は伸びず、中旬あるいは後半に向かってジリ上げという、例年とは逆のパターンも考えられる。農水省の8月の全国出荷頭数も前年同月比4%減と少なめで、また各市場の臨時休業もマチマチのため、盆休み時期の豚価が注目されるところ。

末端消費は、全国的に梅雨明けが遅れていたことから、食肉全体として低迷状況が続いていた。とくに前半は季節外れの低温となった日もあり、鍋つゆ商材やスライス関係が動いた店舗もあったという。ただ、日照不足できゅうりやナスなど一部の野菜も高騰していたため、豚肉も単価の安いスソ物の切り落としを除いて、焼き肉や生姜焼きなどは振るわなかったようだ。「海の日」を含む3連休も天候不順で末端の売れ行きは鈍く、問屋筋では在庫がさばき切れず、中部位に至っては投げも出ており、これが月後半の相場下げにもつながっている。

7月最終週になっても、学校給食需要が止まっているにも関わらずウデ、モモの荷動きは堅調で、肩ロースが先行して動きだしている。これに対してロース、バラの動きの弱さは続いている。ただ、東北を残して梅雨が明け、本格的な夏の需要期に入ったことで、盆休みにかけて焼き材の動きが強まるとの見方が多い。輸入チルドとの競合の懸念はあるものの、400円前半まで豚価が下げてきたことで、国産の販促も入ることに期待したいところ。8月は急激な上昇はないとみられるが、400円台後半までジリ上げに転じると予想される。

〈畜産日報 2019年7月30日付〉