昨年9月の岐阜県での豚コレラ発生以降、野生イノシシ、養豚場における豚コレラ感染拡大を受け、8月2日に名古屋市内で、愛知県養豚生産者代表・山本孝徳氏(発起人代表)、岐阜県養豚協会・吉野毅会長、長野県養豚協会・中村秀司会長、三重県養豚協会・小林政弘会長、静岡県養豚協会・中嶋克己会長――5人を発起人とした「豚コレラを考える会」が開催され、生産者や流通業者ら350人が一同に会した。その中で、地域限定の飼養豚に対する豚コレラワクチン接種を求める要請を出席者の総意で決議し、東海農政局の富田育稔局長、日本養豚協会の松村昌雄会長代行に提出した。

決議書では、
〈1〉安定した養豚経営を営むため、予防的ワクチン接種に向けた対応
〈2〉対応策の一つとして、東海5県に限定したワクチン接種の提案
〈3〉手当金支払いの迅速化
〈4〉互助基金の見直し
――を要請。

ワクチン接種については、野生イノシシでの豚コレラ感染が常在化し、今年末から来年にかけて関東まで拡散する可能性を示唆した上で、野生イノシシ感染地域において、良好な防疫衛生対策を実施している農場においても感染を防ぎきれない事例が続く以上、農場・養豚業界を守るため、何らかの形でワクチンに頼るほかない、とした。また、ワクチンの接種地域については、当面は東海5県(岐阜、愛知、三重、静岡、長野)、または野生イノシシでの感染が確認されている中部10県(5県に加え、山梨、福井、石川、富山、新潟)で接種を開始し、関東、その他の地域は状況に応じていつでもワクチン接種が出来る体制を整える必要性を訴えた。

閉会後の記者会見で、岐阜県・吉野会長は「このまま殺処分という光景を繰り返してはいけない、という各方面の思いから、今回、総意の決議をして頂いた」とした上で、国の対応について「立場上、(ワクチン接種が)難しいということは承知している。しかし、我々や県、国、業界がタッグを組み、この国難に立ち向かわなければならず、豚コレラの終息を勝ち取りたいと考えている」とした。また、ワクチン接種の範囲について、「現在は、東海5県の地域限定として想定している。しかし、野生イノシシの感染拡大は拍車がかかり、関東への拡大も懸念されるため、経営再開の支援を目的とした予防的ワクチンとして、随時、接種範囲を広げていく必要がある」と指摘した。仮にワクチン接種が許可された場合の課題(流通上の問題、種豚農家への対応、獣医師の確保など)については、「岐阜県では検討段階に入っており、流通ではJAや県肉連と意見のすり合わせを行っている。難しいことは確かだが、広範囲の圏域での流通に収めていきたい」との見解を示した。

決議書を受け取ったJPPA・松村会長代行は、「JPPAとしても、全国の約49%の養豚農家を対象にワクチン接種の意見を聴取し、『ワクチン接種をすべきだ』という意見を、全国の生産者から担保して頂いた。それに基づいて、国に要請を行ってきた。現在、養豚場・野生イノシシで感染拡大が続いており、それに対応できるよう柔軟に活動しなければならない状況にある」とし、「三重、福井での発生を受け、行政サイドも、どう整理・対応していくか、終息に向けどう対処していくのか、誰がどう責任を果たしていくのか、意識が変わりつつあると肌で感じている。今後もJPPAとしては、手を緩めることなく活動を続けていく」と強調した。

最後に吉野会長は、「岐阜県では5.8万頭が殺処分され、流通も含めて壊滅状態にある。しかし、飼養衛生管理基準の徹底を図り、今まで以上のハード設備を作り上げ、対アフリカ豚コレラも視野に入れながら、『日本一、飼養衛生管理の高い県』を目指して早急に経営再開をしたい、と全農家が頑張っている。経営再開のためにはワクチンが必要となる」と強く訴えた。

〈畜産日報 2019年8月6日付〉