豚コレラの感染拡大を受けて、国会議員および関係自治体選出の議員有志が8月9日、名古屋市の東海農政局・富田育稔局長と大村秀章知事のもとへ訪れ、豚コレラの早期根絶に向けた要望書を提出した。飼養豚へのワクチン接種の早期実施や被害農家の事業再開までの補償、水際対策の強化などが柱。今後、議員団は、口蹄疫の特措法の例を参考に、養豚業の現場を守るため議員立法も視野に入れた支援策の検討に入る方針だ。

要望書を提出したのは「愛知県における豚コレラ対策の早期実現を求める有志議員団」で、重徳和彦衆議院議員(愛知12区)をはじめ愛知県選出の衆参議員と地方議員ら13人と養豚農家3人がオブザーバーとして参加した。

要望書によると、「豚コレラは昨年9月に岐阜県で発生以来、感染エリアが拡大し、いまだに養豚農家の被害が収まる見通しが立っていない。(中略)抜本的な対策が求められるものの、政府は豚へのワクチン接種にまだ躊躇している。窮状に置かれる地元養豚農家の声に真摯に応え、一刻も早い現状脱却を期するため」とし、

〈1〉飼養豚へのワクチン接種の早期実現
〈2〉被害発生後の対策強化(農家の事業再開までにかかる全てのコストに相応の補償を行うこと、被害農家への手当金を非課税にすること、搬出・移動制限の農家の特例出荷を速やかに認めること)
〈3〉水際対策の強化
〈4〉感染原因の早期特定に向け、国の調査結果を情報公開すること

――を強く求めた。

要望代表者として重徳議員は「主たる要望は、豚への豚コレラワクチン接種だ。政府は現場に飼養衛生管理基準の徹底など様々な規制をかけるが、生産者の取組みも限界に来ている。宮崎県の口蹄疫では3~4カ月で終息宣言に至ったことと比べても、行政の危機管理能力が厳しく問われる。ワクチン接種に係る地域限定やトレーサビリティなどの課題を早急に検討し、価格低落時の補てんや掛け増し経費などの支援策を国が整備して早期に実施に移すべきだ」と訴えた。

議員団によると、これに富田局長は、

▽地域限定のワクチン接種を行うには、他地域との間のゾーニング、ボーダーコントロールが必要であり、農水省も悩んでいる
▽口蹄疫の際は、口蹄疫特措法と税制の特例を定める2本の法律があったが、今回はまだ法整備されていない
▽いつまでに収束させるのか目標を定めるのは難しい。しかし、発生から2年経つと非清浄国とされ、その前3カ月は感染発生しないことが条件。残された時間は長くない

――などと答えたという。

大村知事は、
▽今後も生産者に寄り添った対応をしていきたい
――と発言したという。

養豚生産者からは「今朝、仲間の豚舎で豚コレラが発生した。彼はもう廃業するしかないと思う。ワクチンを打っていたら発生しなかったはず」「2月の発生で全頭殺処分となったのち、先日経営再開した。しかし、喜びよりも不安の方が大きい。ワクチンを認めてもらいたい」「発生以来頑張ってきたが、もう無理」「天職と思って日々楽しく経営してきた養豚が、いまは不安の中で、楽しいと思えない」と口々に苦境を訴えた。

有志議員団からも、「来年6月までに収束しなければどのみち非清浄国となる。現状が続けば、それまでに廃業する養豚業者がどれほど出るか。それでもワクチン接種を認めなくてよいのか、本省と真剣に考えて欲しい」「ワクチン接種ブタの価格が下がらぬよう、行政の支援と消費者の理解が必要だ」と求めた。

〈畜産日報 2019年8月21日付〉