〈令和元年9月の需給展望 豚肉〉残暑見込みで出荷・豚価は流動的、鍋物需要の遅れも

畜産日報 2019年9月3日付
〈前半は小確りも、出荷増で下旬400円台前半の展開に〉
今夏の豚肉需要は、長梅雨と集中豪雨、梅雨明け後の猛暑・・・と天候に振り回された。枝肉相場も、盆休み前の手当てと、市場稼働日の影響もあって500円台後半まで上昇した局面もみられたが、肝心の盆休み期間中の末端消費も振るわなかったことで8月後半の買い気も弱く、月間平均では519円(東京市場:上物税込み)となった。気象庁によると、9月いっぱいは平年よりも高い気温が予想されており、相場も残暑の影響を大きく受けそうだ。今後の気温の動向と、9月後半にどのタイミングで出荷遅れの分が増え出すか、またBBQ需要と鍋物需要の切り替えがいつになるかがポイントといえる。その流れから前半は500円台を維持するものの、月末は450円を割り、月平均は税抜き480円前後と予想する。
 
[供給見通し]

農水省の肉豚出荷予想によると、9月は129.5万頭と予想している。前年同月比3%増としているが、9月としては2年連続で130万頭を割る見込み。前年より稼働日は1日多いため、1日平均で6.8万頭と前年(7万頭)より少ないが、これに猛暑による8月の出荷遅延分の上積みも考えられ、さらに増加する可能性もある。今後の出荷は流動的だが、猛暑が続く前半は少なめで推移し、朝晩の気温が低下してくる彼岸以降は大きく増えてくる可能性が高い。農畜産業振興機構の豚肉需給予測では、9月のチルド豚肉の輸入量は3.2万tとみている。前年が少なかった反動で前年同月比4.2%増だが、ここ数カ月の末端消費の弱さと決算期、国産の出荷増・豚価の値下がりを見越して、3万t台前半の水準となる。それでも、手間の市中在庫は多めで、バラなど部位によっては国産と輸入の価格の競合が予想される。
 
[需要見通し]

結論からすれば、需要は6月後半から8月末までの低迷から脱し、上向くとみられる。盆休み期間中はスペアリブなどBBQ需要が期待されたものの、結果は台風や猛暑で振るわず、スソ物やロース、バラを中心に需要の弱さは8月末まで継続した。9月に入るとロースの荷動きが出始め、これまで不振だったスソ物も学校給食の需要も戻ってきている。カタロースは堅調だ。夏の相場が安かったため、量販店も9月は国産中心に販促を仕掛けているもようだ。バラが動くのはもう少し気温が涼しくなってからだが、近年は量販店の棚替えも早まる傾向にあり、残暑が続くようであれば、売り場の品揃えと生活者の購買意識のギャップが生じる恐れも。
 
[価格見通し]

9月の豚枝肉相場は、疾病問題も含めて出荷動向が読み難く、不透明感が強い。出荷がどのタイミングで増え出すかがポイントとなるが、例年のパターンでは彼岸(20日)前後とみられる。前半は出荷減の状況が続く可能性が高いため枝肉相場は税抜きで510~530円の小確りとなり、「秋分の日」を含む三連休前あたりから下落し、月末には420~430円まで下落する可能性もある。前年9月の平均相場は475円と8月から94円も値下がりしたが、今年は月平均で480円前後(税込み520円前後)と、40円ほどの下げ幅になると予想される。

〈畜産日報 2019年9月3日付〉