〈接種豚の出荷は接種地域内が原則も、と畜場の交差汚染防止対策で域外も可能に〉
農水省は9月27日、家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会を開き、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針の改定案をまとめ、委員から了承を得た。予防的ワクチン接種の規定や野生イノシシの調査、再導入前のモニター豚による農場の清浄性確認の実施などが明記されている。今後、都道府県への意見照会とパブリックコメントを10月7日まで行い、家畜衛生部会の答申を得て、新たな防疫指針が施行(官報告示)される方向だ。

予防的ワクチン接種に関しては、専門家の意見を踏まえて国(農水省)が「ワクチン接種奨励地域」を設定する。同地域に指定された都道府県(以下、県)は、感染防止が困難と認める地域に対して「ワクチン接種プログラム」を作成し、国の確認を得たうえで、県知事がワクチン使用を許可(命令)するという流れだ。

農水省によると、現時点で“想定される”ワクチン接種奨励地域として、埼玉、富山、石川、福井、長野、岐阜、愛知、三重、滋賀の9県を挙げている。県知事が定める接種対象区域は、飛び地にならないよう点ではなく、面的に区域を定めるが、接種農場と非接種農場の接触面は最小にとどめる。

対象家畜は、接種地域内で飼養されるすべての豚で、初回接種は原則、哺乳豚を除いて全頭に行う。ただ、「高度な隔離・管理下にある豚」として国の確認を受けたものは除外される。種豚場などを想定していると推測される。

接種農場は、生体豚へのマーキングやワクチン接種豚台帳による記録を行い、ほかの農場やと畜場へ移動させる場合には確実に標識を付けるよう留意している。

出荷は原則、接種地域内のと畜場に限定される。ただ、出荷元の県の要請を受け、接種地域外のと畜場についても、交差汚染防止対策が講じられていることが所在県から確認された場合にのみ、接種地域外への出荷も可能とするよう、手立てを残した。精液や受精卵、排せつ物、死亡豚などの移動も原則、接種地域内に限られるが、地域外の施設についても臨床的異常がないことやウイルスを拡散させない措置が講じられていることが県に確認されるなど一定要件を満たした場合に地域外への移動も認められるとしている。

今回の防疫指針の改定は、予防的ワクチン接種に関して言えば、大枠を定めたに過ぎず、「ワクチン接種プログラム」の作成や接種区域の制定など多くの作業・調整は自治体にゆだねることになる。

国内には150万ドーズのワクチンが備蓄されており、接種奨励地域とされた9県の豚の総飼養頭数は78.2万頭(2019年2月1日現在)と現状は余裕があるとみられるが、増産には一定の時間を要するなか、さらなる発生地域の広がりも想定される。

愛知県など1カ月近く発生がみられない県もあるなか、先着順で打つのか、感染リスクの度合いで優先するのか、限られたワクチンをどんな形で接種していくのか整理するべきポイントは多い。原則、全頭を接種するため、大規模農場の場合、家保職員や管理獣医師など人員確保の問題も課題となりそうだ。

〈畜産日報 2019年9月30日付〉