自民党は12月12日、農林・食料戦略調査会、農林部会、農政推進協議会の合同会議を開き、2019年度補正予算と、2020年度の農林関係税制改正事項、農林関係予算、農水省組織・定員を決めた。こ農林関係の補正予算は総額5,849億円に上っており、既報(本紙12月5日付)の通り、日米貿易協定の発効を見据えて改定された「総合的なTPP等関連政策大綱」の関連予算に3,250億円を計上することを決めた。

このうち、和牛・乳用牛の増頭・増産対策では243億円、畜産クラスター事業の改善は409億円となった。和牛・乳用牛の増頭・増産対策では、増頭奨励金の交付をはじめ、優良な和牛を生産するための公共牧場などでの繁殖雌牛の導入や施設整備、和牛受精卵の増産、乳用後継牛確保のための性判別精液の活用などを支援する。増頭を下支えする環境を整備するため、後継者不在の中小・家族経営からの経営継承、TMR(完全混合飼料)センターの整備、家畜排せつ物処理の円滑化、家畜市場・食肉処理施設の再編整備を支援していく。

畜産クラスター事業の改善では、クラスター計画策定地域での中小農家の規模拡大を後押しするため、飼養頭数などの規模要件を緩和し、収益性の向上などに必要な機械の導入、施設整備を支援していく。このほか、輸出拡大のための、食品製造事業者によるHACCPに対応した施設改修や機器への支援、食肉処理施設の整備を支援するなど、輸出向けHACCP等対応施設整備緊急対策に108億円を計上している。

豚コレラ(CSF)・アフリカ豚コレラ(ASF)対策では、
▽家畜伝染病予防費(57億円)
▽家畜衛生の推進(59億円)
▽鳥獣被害防止総合対策交付金(5億円)
▽家畜伝染病の水際検疫強化・早期発見・封じ込め対策(13億円)
▽重要病害虫の防除対策の推進(24億円)
――を計上した。

家畜伝染病予防費では、都道府県が実施する検査や消毒ポイントの運営経費を支援する。家畜衛生の推進は、家畜保健衛生所での高度な検査施設の整備やワクチンを安定供給するための製造施設・設備の増強などを支援する。

台風19号など災害からの復旧・復興など、災害復旧・復興に2,144億円を措置している。

〈20年度予算、和牛・乳用牛の増頭・増産に30億円、家畜衛生対策に101億円〉
20年度農林関係予算については、財務省との折衝状況(内報額)が報告された。和牛・乳用牛の増頭・増産対策では30億円、草地関連基盤整備(公共事業3,264億円の内数)、畜産・酪農経営安定対策に2,234億円、畜産生産体制の強化に9億円、ICTを活用した畜産経営体の生産性向上対策に30億円、畜産環境対策の高度化(農山漁村地域整備交付金943億円の内数)などが盛り込まれている。

食の安全・安心確保では、消費・安全対策交付金に30億円、家畜衛生等総合対策に101億円、鳥獣被害防止総合対策交付金(100億円の内数)、家畜伝染病の水際検疫強化・早期発見・封じ込め対策は10億円規模になる見通しだ。

〈畜産振興課に家畜遺伝資源管理保護室〉
20年度の農水省の組織・定員要求では、
▽農業の競争力強化に向けた体制整備
▽林業の成長産業化に向けた体制強化
▽水産業の成長産業化に向けた体制強化
――など、トータルで181人の増員となる。

畜産関係では、生産局畜産部畜産振興課に「家畜遺伝資源管理保護室」を設け、和牛遺伝資源の流通管理の適正化や保護強化を行う。これに、植物品種の海外流出防止の体制強化も含めて合計12人を増員する。

CSF・ASFなど家畜伝染病や病害虫に対する国内防疫、水際検疫の体制強化では45人増員する。輸出先国の規制への対応強化に向け、農水大臣を本部長とする司令塔組織として「農林水産物・食品輸出本部」を、食料産業局に「輸出先国規制対策課」をそれぞれ新設する(23人増)。

〈20年度税制改正で肉免措置を3年延長〉
20年度の農林関係税制改正事項のうち、畜産関係では、「肉用牛の売却による農業所得の課税の特例措置の3年延長」(所得税、法人税、住民税、事業税)が盛り込まれた。

〈畜産日報 2019年12月13日付〉