石井食品、愛知の伝統野菜「木之山五寸にんじん」使用ハンバーグ発売「地域と生産者への貢献が目標」

石井食品「愛知県大府市木之山五寸にんじんソースハンバーグ」
無添加調理による加工食品を製造販売する石井食品(船橋市、石井智康社長)はこのほど、愛知県の伝統野菜「木之山五寸にんじん」を使用した、「愛知県大府市木之山五寸にんじんソースハンバーグ」(160g、税別330円)を3月末までの期間限定で、大府市内の百貨店や、都内の直営店、一部百貨店、自社ECサイトなどで販売を開始した。原材料が無くなり次第終売となる。

2月5日には都内で新商品発表会を開催し、同社の取組を紹介するとともに、生産者と交えたパネルディスカッションを開いた。同社では2016年から、生活者と生産者をつなげることをテーマとした「地域の旬」への取組を展開しており、約30の地域の地場食材を用いて商品を展開してきた。

石井社長は同社の取組について「中期経営計画で、日本一地域と生産者に貢献する食品会社になることを掲げている。1970年代にミートボールをはじめ、1990年代には無添加調理やトレーサビリティに取り組んできた。安全・安心を追求してきた。今後の課題として、地域食材・旬の食材をテーマとしている。食品業界の流れは効率的ではあるが、生産者のこだわりが消費者まで届きにくい。農家はどこで加工されて売られているかが分からない。消費者の感想が生産者までフィードバックが伝わらない。さらに規格外や相場調整のために大量廃棄も問題になる。石井食品では、消費者の声を聞き、生産者にフィードバックし、こだわりに見合う適正な価格で仕入し、生産者との共同商品開発を行い、ファンを拡大していく」と話した。

石井食品・石井智康社長

石井食品・石井智康社長

「木之山五寸にんじん」は、大正時代から大府市で栽培されてきた、身が緻密で芯まで赤く、芳醇な香りと強い甘みが特徴で、あいち伝統野菜にも認定されている。最盛期には30軒ほどの農家で栽培されていたが、自家採種の苦労や生産者の高齢化により現在は2農家が栽培したものしか流通していない。「愛知県大府市木之山五寸にんじんソースハンバーグ」は、木之山五寸にんじんをピューレとみじん切りにして、ソースに使用した国産若鶏のハンバーグで、じっくりと熟成させた愛知県武豊町のたまり醤油「なじみ」も使用し味付けにもこだわっている。
 
パネルディスカッションでは、「日本の伝統野菜をどう次世代へ継承するか」をテーマに、石井社長、元農水相の山田正彦氏、生産農家の山口友和氏、山口茂樹氏、あいち在来種保存会の高木幹夫氏がパネラーとした登壇した。ディスカッションでは、最近は農家の採算性を優先してF1種の使用が増加し、伝統野菜の生産量が激減していることや、そのF1種の種子を海外企業がほぼ独占している現状に対する強い危機感を示した。また伝統野菜は形が不揃いで、病気にも弱く、にんじんにおいては、有効な農薬も少ない。そのため、生産量には限りがあることや、農家の高齢化などで、伝統野菜生産者の継承も進んでいないとした。その上で、石井食品との取組のように販売チャネルが開拓できれば、チャンスになることに期待を寄せた。
 
〈畜産日報2020年2月17日付〉