〈5月は相場底打ちも、頭数多めでやや弱含むか〉
新型コロナウイルス感染症の影響で、ホテル・レストランの休業が相次ぎ、牛肉需要は大きく落ち込んでいるが、大型連休明けの5月14日に39県で緊急事態宣言が解除され、21日には関西3府県、そして25日には全面解除となった。このため、飲食店の営業再開によって徐々に外食需要が戻ってきているほか、連休後の補充買いの動きもあり、5月の東京市場の枝肉相場は、概ね前月を上回り、底打ちとなった。

ただ、枝肉の内容によって価格差が大きく、加重平均が上値に引っ張られている部分もある。緊急事態宣言が全面解除されても、県境移動の自粛や、営業時間の短縮、客席を減らすなど、新型コロナ対策で元の需要に戻るにはしばらく時間がかかるとみられる。また、6月は来週から梅雨入りが予想されており、需要好転、相場上げの材料は少ない。とくに出荷頭数も多いとみられることから、和牛の上位等級は厳しい相場展開となりそうだ。

〈供給見通し〉
農畜産業振興機構の牛肉需給予測によると、6月の成牛出荷頭数は前年同月比5.5%増の8万3,500頭と予想している。前年が連休前の相場下落で出荷頭数が少なかった反動もあるが、とくに和牛は3万7,500頭(同8.7%増)、交雑1万8,300頭(同0.2%増)、乳用種2万6,400頭(同5.1%増)とすべての品種で前年を上回る出荷が予想されている。もともと7月のオリンピックを前に出荷が増えるタイミングでもあった。

一方で、チルド牛肉の輸入量は北米の現地工場の稼働中止の影響から、1万9,700t(7.7%減)と2万t を割る見込みだ。このため、ホルスに関しては、焼き材やスソ物など多少、輸入チルドの代替の引合いも考えられるが、価格帯も違うため、大きな動きにはならないとみられる。

〈需要見通し〉
上述の通り、緊急事態宣言が全面解除され、休業要請も緩和されつつあり、ひとまず外食関係者にとってはホッとしたところだが、インバウンドも含めて完全に元の需要に回復するにはまだまだ時間がかかりそう。関東でも先月25日の解除以降、スソ物や焼き材の発注が少し来ているが、ロイン系など高級部位の荷動きは止まっている状況だ。今後は、今月19日以降とされる県境移動の自粛解除がひとつのカギといえそうだ。

一方、家庭内需要で、切り落とし用の低級部位は引続き動いているものの、自粛疲れ(調理疲れ)から連休明けから勢いが弱まりつつあるようだ。21日の「父の日」に向けて焼き材やロインなどステーキ材の需要も見込めるが、消費力の弱さと、そして、梅雨の不需要に入ることから、需要回復の材料は乏しいといえる。一方、各自治体や大手卸をメーンに、「和牛肉保管在庫支援緊急対策事業」などの畜産支援対策を踏まえた動きも出ており、これが枝肉相場の下支え要因にもなっているようだ。

〈価格見通し〉
例年、6月の枝肉相場は前月比で値下がりの展開となる。これまで述べてきたように、いまだ需要低迷が続いているなかで、出荷頭数が増加予想にあることから、和牛の上位等級を中心に再び弱含む可能性は高い。これに対して、和牛の2、3等級や交雑種、ホルスなどは相場を維持するとみられる。このため、6月の月平均相場は和牛去勢A5等級で2,200円、4等級で1,800円、3等級で1,650円、交雑種B3で1,300円、B2で1,150円、乳雄B2で1,020円前後と予想される。

〈畜産日報2020年6月3日付〉