ワタミ 和牛焼肉食べ放題「上村牧場」出店、カミチクと業務提携、国内外700店舗目指す

ワタミ渡邉美樹会長とカミチクホールディングス上村昌志社長
居酒屋チェーンのワタミ(本社:東京都大田区、渡邉美樹会長兼グループCEO)とカミチクホールディングス(鹿児島市、上村昌志社長)はこのほど、合弁会社ワタミカミチク(株)を設立し、焼肉食べ放題の新業態「上村牧場」を大田区南蒲田に出店した。

カミチクグループを通じた圧倒的な仕入れ力と、ワタミが培ってきた外食産業のノウハウを融合させ、店舗内には料理を運ぶ特急レーンを導入して省人化を図り、カミチクが生産する4等級以上の和牛を手ごろな価格で提供する。

1号店(京急蒲田第一京浜側道店)を皮切りに、6月23日には大阪府守口市に、年内には台湾台北市とベトナムホーチミン市にも出店する予定。10年後には国内400店舗、海外20カ国300店舗のチェーン展開を目指す。ワタミが展開する居酒屋業態などでも牛肉を使用するなど、両社の連携を深めていく方針だ。11日に同店で事業説明会を開き、渡邉会長、上村社長が今後の事業展開を説明した。

現在、カミチクグループでは直営牧場で1万8,000頭、南九州の預託農場で4万4,000~5,000頭の肉用牛・乳用牛を飼養しており、4等級以上の鹿児島県産黒毛和牛に限定した「薩摩牛」をはじめ、さらに5等級・BMS10以上のものを選別した「薩摩牛4%の軌跡」、豪州産Wagyu の素牛を鹿児島県内の自社農場(カミチクファーム)で肥育した肉専用種「南国黒牛」など、特徴あるオリジナルブランドを生産している。また、グループの食肉加工事業では、アウトパックなども手掛けている。

渡邉会長によると、「上村牧場」ではこの「薩摩牛」「南国黒牛」を看板牛に各種メニュー・コースを用意、食べ放題コースは1人当たり2,980円、3,580円、3,980円で展開しているという。

さらに、「上村牧場」への原料提供だけでなく、ワタミが手掛ける居酒屋業態などにも原料を提供するなど業務提携を広げていく考えで、「(新型コロナウイルス感染症による休業要請の影響を受けた)居酒屋業態をもう一度蘇らせたい。そのためには、ウリとなるものが必要だ。当然、カミチクグループは、さまざまな部位や等級の牛肉を手掛けているため、ワタミとしてはカミチクの牛肉を全面的に使わせてもらいたい」と期待感を示した。

上村社長も、「いま国内の肉牛生産者は厳しい環境にある。だからこそ、生産者に対して、ここは我々に任せて、みんなで踏ん張っていこう、という思いがある。我々は牛・豚肉の内臓や脂、筋などの副産物をはじめ、加熱加工品も手掛けようとしている。今後は居酒屋業態や宅食などへの連携も期待したい」と述べた。

「上村牧場」では、客席の間に回転ずし店のような特急レーン完全連動TTO機器を導入。肉の店舗カットは一切行わず、カミチク関東で加工・納品を行う。こうした徹底的な省人化により、人時生産性は7,000円を超えるという。

渡邉会長は、「向こう5年で国内200店舗、海外10カ国100店舗、10年では国内400店舗、海外20カ国300店舗のチェーン店を展開していきたい。1店舗当たりの年商は2億円を超えるため、かなりのボリュームのチェーン展開ができるのではないか。海外では、台湾、ベトナムのほか、中国、米国、韓国、マレーシア、シンガポールでの展開を考えており、『上村牧場』とともに世界を切り開いていく」と自信を見せた。

〈畜産日報2020年6月12日付〉