和牛肉の輸出拡大が畜産業界の大きな課題になっている中 、家畜改良センターはこのほど外国人を対象とした和牛肉の嗜好性調査をまとめた。

調査した1,013人の98%が「好む」「やや好む」と回答し、調査を行ったほとんどの外国人が和牛肉を好むことが分かった。好む理由は、各国とも「やわらかさ」、「多汁性」が1位か2位に挙げられ、「風味」は2位か3位に挙げられる。特に、風味の選択割合は地域や国籍で異なり、調査結果では、その地域ごとに和牛肉拡大の戦略が必要と指摘している。

なお、本調査は和牛肉に特徴的な「和牛香」(甘く脂っぽい香り)に焦点を当てて調査を行っており、外国人が和牛肉を食べて感じた香りの性質から和牛香の感じ方を判定している。外国人に対して和牛香の感じ方に焦点を当てて行った調査は初めてといえる。

調査は、家畜改良センター企画調整部改良技術課の尾花尚明係長を中心に、幕張メッセで開催された第1回、第2回「日本の食品」輸出EXPO、フ―デックスジャパン2017、2018、2019で、外国人来場者および出展者を対象に実施した。

調査には、家畜改良センターで肥育した黒毛和牛のサーロインを用い、脂肪含有量が45%以上(BMSNo.7~10)かつトレーニングされた評価者が、味や香りの強さを判定する分析型官能評価で甘い香りの強さが平均値以上の牛肉を用いた。調査対象者には、フライパンで加熱調理した牛肉(6×4×0.3cm、味付けなし)を1人当たり2枚提供し回答してもらった。調査結果は、35人以上の回答者数が得られた16カ国、合計1,013人について取りまとめた。なお調査の一部は、日本畜産物輸出促進協議会の協力を得た。

その結果、1,013人の84%が試食した和牛肉を「好む」と回答、「やや好む」を合わせると98%を超え、調査対象とした外国人のほとんどが和牛肉を好むことが明らかになった。和牛肉を好む理由は、「やわらかさ」、「多汁性」が最も多く、各国で1位、2位に挙げられ、最も好まれた食味特性となっている。ついで、「風味」が2位か3位に挙げられた。

和牛香を感じた人の割合をみると、アジア圏(特に、香港63%、韓国60%)で他の地域に比べ低く、欧州(フランス98%など)・北米諸国(アメリカ86%)、オーストラリア91%で割合が高かった。また、試食した和牛肉を好んだ理由では、前述のように、各国で「やわらかさ」「多汁性」が最も多いが、続く「風味」の選択では、アメリカやオーストラリア、マレーシア、スペインでは割合が高く、香港や台湾は選択割合が低かった。

調査を行った尾花氏は、和牛香の感じ方や好む食味特性(やわらかさ、多汁性、風味)には地域や国籍で若干の違いがあり、今後さらなる輸出拡大を図るために輸出対象国の嗜好性に対応した販促活動が必要としている。

〈畜産日報2020年7月28日付〉