〈500円割る局面も、引続き前年相場は上回るか〉
9月の4連休は観光地など人出が増えたが、引続き量販店などの末端の動きは良く、国産豚肉の荷動きは堅調だった。豚枝肉相場は、気温低下に伴う出荷頭数の増加により、下旬にかけて上物税抜き500円台前半まで下げると想定された。しかし、実際は9月後半の枝肉相場は500円台後半を維持し、月間平均相場(東京市場、税抜き)は上物で575円(前年同月比63円高)と7カ月連続で前年相場を上回り、高値で推移した。

一方、9月26日には群馬県で飼養豚としては初の豚熱(CSF)が確認された。週明け(9月28日)の関東3市場(全農建値)では上物で前市比7円安の税抜き579円とCSFによる表立った混乱はみられず、影響は限定的といえそうだ。

10月は基本的に供給増・相場安の展開となるが、ことしは依然として堅調な内食需要に支えられ、極端な下げパターンになることは考えにくい。供給増に伴って、枝肉相場は下がっていくものとみられるが、あくまで緩やかな下げにとどまりそうだ。もちろんCSFの広がりなど、状況次第では相場が跳ねる要素もはらんでおり、先行き不透明な部分が多い。出荷増のタイミングで500円を割る可能性もあるが、月間では上物税抜きで500円絡みの展開を予想する。

〈供給動向〉
農水省が9月17日に公表した肉豚生産出荷予測によると、10月の出荷頭数は前年同月比2%増の144.8万頭と予測。これまで残暑などの影響で伸び悩んでいたが、10月からようやく本格的に出荷が増えてくることが予想され、1日当たりの出荷頭数は6万6,000頭前後(22日稼働)となる見込みだ。

農畜産業振興機構の豚肉需給予測では、10月の輸入チルド豚肉は引続き北米産の供給減に加え、新型コロナウイルスの影響により買付け時の国内需要が低調だったことを背景に、前年同月比10.1%減の3万3,300tと予測している。

供給量は回復傾向にあるものの、一部スペック品などでは、まだ完全な回復とまではいっていないようだ。現在、通関遅れの影響で市中はタイト気味だが、今後、遅れの分が入荷しても、ある程度買いを絞っていたこともあり、そこまでの余剰感はなさそうだ。

〈需要見通し〉
9月は上旬こそ残暑で気温が高い日が続いていたものの、彼岸以降、最低気温が20℃を下回る日が増え、秋めいた気候となってきた。量販店の棚替えも一巡し、スライス系の棚割りが目立っている。月初の週ともあって、バラを中心にロース、カタロースなど好調で、スソ物などを含め生鮮物の引合いは全般的に堅調となっている。

10月は連休やこれといったイベントがないものの、全国で「Go To Eat」キャンペーンや「Go To トラベル」が始まり、外食業態の盛り上がりが期待される。一方で、内食需要は引続き底堅く推移するものとみられる。来週以降は一層気温の低下が見込まれ、本格化する鍋需要に向けてスライス商材など引合いが強まってくることが予想される。

〈価格見通し〉
東京市場の相場(上物)は、10月1日が前市から10円下げの税抜き529円、10月2日が14円上げの543円でスタートしている。10月は出荷頭数が本格的に回復することが予想される一方、例年に比べ長梅雨や残暑などで季節の変わり目が半月ほどずれ込んでいるため、潤沢な供給になるのは中旬以降になるとの見方が強い。このため、月前半は500円台半ばを維持するとみられ、出荷が増えてくる中旬以降、500円を割ってくる可能性がある。

月間平均では、前月相場を下回るものの、後半にかけて緩やかに下げに転じていくことが予想され、平均では上物税抜きで500~510円(税込み540~550円)の展開と予想したい。だが、CSFや新型コロナ関連の動向が、枝肉市況にどのように影響するか、先行き不透明な部分も多い。

〈畜産日報2020年10月5日付〉