〈出荷頭数少なく、相場の垂れは限定的に〉
例年3月は決算期ということもあり、中旬にかけて在庫調整の動きが強まり、枝肉相場も一服するパターンとなるが、2021年は月間通して右肩上がりのジリ高で推移した。「和牛肉保管在庫支援緊急対策事業」や輸出需要、量販店など流通各社が3月中旬にも棚替えを実施したこと、そして下旬にかけて出荷・上場頭数が少なかったことが要因とみられる。

ここにきて、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加するなど不安材料が出ている。とはいえ、この間の自粛生活の反動と春の行楽シーズンを迎えるため、牛肉需要も家庭内消費はもちろん、外食・ホテル関係もファミリー層業態やランチ需要で回復基調にあるといえる。とくにこの時期のメーンとなる焼肉・BBQ需要は堅調と予想され、これら焼材アイテムの引合いは一層強まることが予想される。枝肉相場は4月も下げ要因は少なく、各畜種・等級で一段高と予想される。

〈供給見通し〉
農畜産業振興機構の牛肉需給予測によると、4月の成牛出荷頭数は前年同月比5.3%増の8万9,400頭とされ、このうち和牛が4万1,600頭(前年同月比12.4%増)、交雑1万9,800頭(前年同月比5.3%増)、乳用種2万6,500頭(前年同月比4.1%減)と、乳用種を除いて昨対をやや上回ると予測している。ただ、前年の出荷頭数が新型コロナの影響もあり7.6%減と大幅に落ち込んだ反動もあるため、成牛全体としては2019年(9万1,417頭)より2.2%少ない方向だ。

関係者によると、2020年末の早出し出荷の反動が足元にも続いており、大規模肥育ほどその傾向が強いという。1月末時点の個体識別データをみても、4月に出荷適齢を迎える黒毛和種の飼養頭数(24~28カ月齢)は前年同期比0.8%減とわずかに下回っている。同様に交雑種も3.4%減、ホル雄も4.3%少ない状況にある。このため、枝相場の上昇を見越した早出しも限定的とみられる。輸入品も、機構の需給予測ではチルドが前年同月比21.1%減の2万2,300tと入船スケジュールの遅れや現地コストの上昇から供給量が少ないため、焼材など代替としてホルスの引合いが強まる可能性も高い。

〈需要見通し〉
流通各社ではすでに棚替えが済んでおり、焼肉商品メーンの売り場に替わっている。新型コロナの感染者数が増加傾向にあるなか、消費者は遠方への旅行を控えつつ、家庭や公園、キャンプ場などでの焼肉・BBQ需要は堅調とみられる。ただ、国産・輸入ともに原料相場は厳しく、本来であれば売価の見直しが望まれるが、消費者の物価に対する意識は高く、各社慎重な姿勢だ。

各社バイヤーからは、「小手先のことをやっても状況は変わらない。日替わりセールを除いて、ベースの部分は変更しない」「無理な売り方はしない。売上げが落ちても、利益をしっかり確保していく」という声が聞かれる。

また、パーツでは、焼肉・切落とし向けに、モモ・バラの引合いは強い半面、引続きロース、カタロース、ヒレなど高級部位の動きは弱い状況が続いている。一部輸入チルドの代替でホルスのロースは底を脱した感もある。スソ物関係は業務用ハンバーグなど加工原料の引合いも出てきたようだ。

〈価格見通し〉
例年、4月上旬は、在庫補充買いにより相場は強気に転じ、中旬は中だるみ感が出て、下旬はGWの手当て買いで再び上昇する流れにある。週が変わると市場への上場頭数は少し増えてくるとみられるが、枝相場自体は小幅な垂れにとどまりそうだ。

このため、和去A5で2,830円前後(東京市場、以下同)、A4で2,650円前後、A3で2,450円前後。交去B3で1,650円前後、交去B2で1,500円前後、乳去B2で1,030円前後と予想する。和牛4~3等級が高騰しているため、交雑種もつられるとみられる。その和牛については、2019年4月の実績も上回る見込みだ。

〈畜産日報2021年4月6日付〉