石垣牛流通協議会が生産地訪問、地元から価格安定と需要活性化に期待の声

石垣牛流通協議会 植村会長、石垣市 中山市長
沖縄県八重山諸島で生産される銘柄牛「石垣牛」の生産振興を目的に首都圏の食肉流通事業者らで組織する「石垣牛流通協議会」(植村光一郎会長)は4月15〜16日、沖縄県石垣市を訪問し、地元の行政・生産者関係団体らと交流を図った。

2021年3月4日の協議会発足後初の生産地訪問となる。現地では設立総会の報告と感謝の表明を行い、地元関係者からは石垣牛の価格安定や需要活性化など今後の同協議会の活躍に期待する声が挙がった。

今回の産地訪問には、植村会長をはじめ発起人代表の山田彰男氏(ニイチク代表取締役)、幹事の木村明俊氏(ニイチク常務取締役)が参加した。一行はJA石垣牛肥育部会、JA石垣牛銘柄推進委員会、沖縄県農業協同組合、沖縄県庁、石垣市役所を相次いで訪れ、先月の設立総会の報告と感謝の表明を行った。

このうち、JA石垣牛肥育部会への訪問では中大盛吉幸部会長と、JA石垣牛銘柄推進委員会では石垣信治会長と面会し、今後の生産計画や需給関係の改善、価格安定などについて意見を交わした。さらに、沖縄県農業協同組合では、普天間朝重理事長と面談し、普天間理事長は協議会への激励の言葉を送るとともに、「今般のコロナ禍によって需給関係が激変している時こそ、価格安定と需要活性化に力を発揮してもらいたい」と期待感を示した。

一方、沖縄県庁の訪問では、崎原盛光農林水産部長から「八重山諸島の石垣牛は離島産業として主力の農産物になっているものの、子牛の出荷がメーンになっている。これが首都圏の需要によって肥育事業が活性化すれば、経営資源として島外に出ている子牛がさらなる付加価値を生むことになる。将来は和牛輸出に向けても挑戦してもらいたい」とエールが送られた。

そして、石垣市役所では中山義隆市長が出迎えて石垣牛流通協議会を激励した。石垣牛について中山市長は、「九州・沖縄サミットで提供されておいしいと称賛を集め、石垣牛バーベキュー大会ではギネス記録を達成し、知名度は高まっているが、島内の需給関係の域を出ていなかった。今回の新型コロナウイルス感染症で価格安定や需要の落込みに苦慮しているところで、首都圏を取り込んだ需給関係の安定が石垣牛肥育に大きな活力を生み出すことを期待している。それに合わせて食肉センターの改革・改善も図り、首都圏の消費者に自信を持って供給できる体制づくりも加速していく」と強調、中山市長は協議会相談役としてアドバイスや指導を行っていくことも快諾した。

今回の産地訪問について植村会長は、「石垣牛流通協議会が活動し始め、首都圏への供給体制が整い需給関係の安定が図られ、価格安定や生産計画に明るい希望が持てるものと確信している」と述べた。また、「生産事業と販売・仕入事業では利害関係が必ずとも一致しない場面が出てくると思うが、将来は肥育部会と流通協議会がまとまって『石垣牛協会』が設立され、石垣市長の会長就任が行われることを願っている」と期待感を示した。

〈畜産日報2021年4月27日付〉