日本ハムは2021年春の新商品・リニューアル品において、従来から続くさまざまな変化とコロナ禍によって突発的に発生した非連続的な意識や行動の変化を併せて分析し、3つのテーマ「健康を意識してカラダを整える」「おうち食卓の充実」「まとめ買い食材で賢く安心」を掲げている。そして、3つのテーマをもとに具体的な「9つの食卓」を提案。「9つの食卓」は現在だけでなく、「継続性」「可能性」などから今後も市場性が高い食卓を抽出している。食肉加工品の直近の状況について、加工事業本部商品統括事業部ハム・ソーセージ商品部の藤元優希課長と同事業部デリ商品部の岡村香里リーダーに話を聞いた。

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【ハム・ソーセージ】
――直近の状況について。


2020年からのコロナ禍で内食需要が非常に高まっており、買い置き需要やストック需要への対応に力を入れて商品開発を行っている。前期(2021年3月期)は「シャウエッセン」が大きく伸長したが、今期も引続き好調を維持している。2020年12月に発売した大容量タイプの「シャウエッセン ジッパー付」も好調となっている。また、開封した後も開け閉めができて使いたい時に好きなだけ使える「クイックパック」シリーズが好調に推移している。「おいしさの白ロース」や「シャウスライス」などをそろえており、買い置き需要や環境にも配慮していることが支持されたとみている。

このほか、2021年春から常温商品の「ほぐせるお肉 プルドポーク」と「ほぐせるお肉 プルドビーフ」の2アイテムを発売している。若い世代に訴求するため、5月から6月までジャニーズのタレントを起用したテレビCMを放映した。テレビCMは若年層をターゲットにした内容であったが、お肉がほぐれるシーンにこだわったこともあって高齢者からも反響があった。今後はSNSを中心としたプロモーションを予定している。また、レシピを募集するなど消費者とコミュニケーションを取りながら拡大を目指していく。
日本ハム「ほぐせるお肉 プルドポーク」

日本ハム「ほぐせるお肉 プルドポーク」

 
――2021年春の新商品の状況は。
 
「クイックパック」シリーズは好調に推移しているが、開封後も開け閉めできる特長が消費者にどこまで伝わっているかの懸念があったことから、量販店店頭で7〜8月に立体的なPOPを設置して特長を訴求していく。twitterとの連動も行っており、「シャウスライス」のレシピなどを紹介。商品パッケージにQRコードをプリントしてサイトへ誘導し、レシピを提案することで商品の利用促進にも取り組んでいる。このほか、秋冬に向けて商品ラインアップも予定している。
 
また、2021年春から「アンティエ」群の強化を図っており、新たなラインアップとして「無塩せきロース(レモン&ライム・ハーブ&スパイス)」を発売した。焼いて食べるなど無塩せきのおいしさを訴求している。さらに拡大するために秋冬シーズンに向けたブラッシュアップを考えている。
 
――今後の方向性について。
 
秋冬に向けた商品では「おうち充実」「買い置き需要」「節約志向」「環境配慮・ダイバーシティ」を軸に展開していく。
 
「おうち充実」では、コロナ禍で外に飲みに行くことができない、自宅で毎回おつまみを調理することができないといったニーズに対応して、おつまみアイテムを数多くラインアップしていく。
 
また、「買い置き需要」では新たなアイテムの投入を予定している。
 
「節約志向」では、「クイックパック」シリーズで大容量パックの購入によってコストを抑える提案を行っていく。
 
「環境配慮・ダイバーシティ」では、アレルギーケア専用工場で生産する食物アレルギー対応商品「みんなの食卓」ブランドの拡大に取り組んでいく。ニッポンハムグループは、食物アレルギーの対応に長年取り組んできたが、その強みを生かしてグループとして注力していく。このほか、大豆ミート商品と常温商品に力を入れていく。
 
〈「極み焼ハンバーグ」やチルドピザ「奏」など高品質な商品への需要が増加〉
【調理加工品】
――直近の状況について。

 
新型コロナの影響で内食需要が増え、どのカテゴリも大きく伸長している。チルドピザ群・スナック群・ハンバーグ群・ワンクック群は引き続き好調に推移しており、とくに家庭で気軽に食べられる商品が増加している。
 
また、直近ではハンバーグ群とチルドベーカリーへの引合いが強い。外食に行けない分、家でちょっと贅沢をしたいニーズが増えており、好調な商品としてハンバーグ群では高品質な「極み焼ハンバーグ」、チルドピザ群では高品質な「奏(かなで)」が伸長している。コロナ禍で高品質な商品への需要が増え、ニーズの二極化が進んでいると考えられる。「極み焼ハンバーグ」や「奏」ではリピート買いも増えている。

日本ハム「極み焼ハンバーグ」

日本ハム「極み焼ハンバーグ」

 
また、チルドピザ群では「石窯工房」「Pizza Feliceria(ピッツァフェリッチェリア)」といったブランドも引き続き伸びている。
 
加えて、コロナ禍で家庭での調理機会が増えていることから、ワンクック群では「中華名菜」など簡単に調理できる商品への引合いが強い。「中華名菜」は、これまで家庭であまり料理をしていなかった消費者が手軽に調理ができるということで、従来獲得できていなかった30〜40代のユーザーが増えた。2020年秋からジャニーズWESTを起用したテレビCMを放映しており、こちらも若いユーザーを獲得できた要因とみている。
 
――2021年春の新商品・リニューアル品の状況について。
 
常温保存できる総菜アイテムをそろえた「あじわいレンジ」シリーズは引合いが強い。素材のおいしさを引き出した独自のフレッシュ加熱製法が支持されている。コロナ禍で、買い置きやまとめ買いといった言葉がキーワードになっており、引き続きこういったニーズは続くとみている。また、集中豪雨などの災害が毎年のように発生しているなか、まとめ買いやストックが防災対策の一環であるとの認識が消費者の中で広がっており、常温商品に対する注目度が上がっていることを感じている。
 
売れ筋のアイテムは「ビーフシチュー」と「肉じゃが」で、おいしさや見た目での完成度が高いところが評価されている。また、3月に「極み焼ハンバーグ」のリニューアルを行った。コロナ禍によって自宅で贅沢をしたいのではないかという仮説を立て、そこに向けて商品のブラッシュアップを行った。その結果、「極み焼ハンバーグ」は想定以上に伸長している。

日本ハム「あじわいレンジ 肉じゃが」

日本ハム「あじわいレンジ 肉じゃが」

 
――現在の注力点と今後の展開について。
 
「中華名菜」では若年層の開拓に注力しており、4月にジャニーズWESTを起用したアレンジメニューのWeb動画を配信した。7月にもアレンジメニューの紹介、季節にあわせた商品を展開することで商品を知ってもらう機会にしたいと考えている。現在、ブランドサイトではジャニーズWESTが出演する2本のWeb動画を公開しているが、「青椒肉絲」の動画は再生回数が138万回以上となっている。
 
このほか、7月に2回に分けて、まとめ買いニーズに対応した大容量タイプの商品を2品ずつ投入した。7月1日には「チキンナゲット600gジッパー付き」と「チキチキボーン 骨なしフライドチキン400gジッパー付き」の2品を発売している。
 
また、SNSを活用した取り組みに力を入れており、商品やブランドを紹介するだけでなく、アレンジメニューなどを提案することでさらなる認知拡大を図っている。
 
今後については「あじわいレンジ」など常温商品の取り組み強化、「中華名菜」などで若年ユーザーに向けた提案に取り組んでいきたい。また、チルドピザの「石窯工房」では発売20周年を迎えていることから商品面などで展開を進めていく。
 
〈畜産日報2021年8月4日付〉