スペイン産牛肉の専門職間連携団体のPROVACUNO(プロバクーノ)のホセ・ラモン・ゴドイ国際部門ディレクターはこのほど、本紙食品産業新聞のインタビュー取材に応じ、6月21日から23日にかけて日本の食品業界関係者を対象に開かれたオンライン商談会の回顧と、今後の日本市場への展望について語った。

――今回の商談会は日本市場への輸出解禁後、2回目となるプロモーション活動の一環ですが、成果・手応えは

今回のBtoBイベントは、合計9社のスペイン企業が参加し、3日間で合計72回のミーティングが行われた。1社当たり8回の会合となる。商談会を通じてスペインと日本双方の当事者同士で新たなコンタクトを取ることができ、大きな成功を収めたといえる。双方の商談が始まったばかりだが、参加し品の安全性が保障され、最先端の技術に基づくEUの生産モデルの下で生産された高品質の牛肉を求めていることが改めて分かった。また、カットに関しては、サーロインやストリップロインといった高級部位に加えて、タンや内臓にも興味を持っているようだった。

――スペイン産牛肉と他のEU産牛肉との明確な違い、優位性は何でしょうか

スペイン産牛肉はEU産のなかでもトップクオリティであり、日本人が好むグレインフェッドの若齢牛のため、柔らかくジューシーかつ低脂肪で繊細な味わいなど品質面でも優位性がある。価格的にも豪州産や米国産とほぼ同等で、品質・コストの面で競争力があるといえる。この点は、ほかのEU産牛肉とスペイン産牛肉の明確な差別化ポイントだ。すなわち、グレインフェッドであり若齢牛で高品質、そして日本人好みの味がスペイン産牛肉の特長といえる。

――日本市場で多く流通している豪州産や米国産牛肉に対してどんな差別化を行う考えですか

最も大きな特長が、世界で最も厳しい食品管理であるEU生産モデルに基づいて生産されている点だ。厳格な食品管理、抗生物質や成長促たスペイン企業もみな満足している状況だ。プロバクーノでは、2021年11月から向こう3年にわたって日本市場でのプロモーションプログラムを計画している。今回の商談会は、そのプログラムに基づく第一ステップであり、その後もさらなるプロモーション活動を予定している。COVID-19の状況にもよるが、スペインの企業にとっても日本の企業とフェース・ツー・フェースによる商談の機会を設けることが非常に重要であり、できるだけ早期にそのような対面による商談の機会も設けたい。

――商談会で、日本企業はスペイン産牛肉についてどんな点に関心がありましたか

日本の企業は、環境に優しいことや、アニマルウェルフェアに配慮されていること、さらに製進剤の使用禁止、さらに、2006年に発行された規制によると、牛肉の賞味期限を人為的に延ばす可能性のある保存料やその他製品を使用することも認められていない。このほか、スペインには固有の畜種も数多く存在しているのも特長だが、その他肉用種の交雑種も含めていずれも品質が高いため、畜種に関しては、スペイン産全体の品質を訴求していきたい。

――今後の日本市場でのプロモーション・マーケティングプランは

プロバクーノでは少なくとも向こう3年間のプロモーション活動プログラムを策定している。2020年、日本市場への輸出が解禁されて2021年で2年目のため、まだまだスタートの段階だ。計画としては、前述のようなフェース・ツー・フェースによるミーティングや、食品展示会(Foodex、Fabex、JFEXなど)への参加、そのほかメディアへの露出、バイヤーおよび市場のキープレイヤー(輸入業者、卸売業者、HORECAなど)を対象としたプロモーションイベントなどを、オフライン・オンラインを組み合わせて実施するなど、日本市場でのスペイン産牛肉の存在感を高めるためのあらゆる活動を展開していきたい。

――その他、日本の消費者へおススメのスペイン産牛肉の食べ方・調理法はありますか

スペイン産牛肉のカットにはそれぞれ用途があり、そのどれもが素晴らしいものだが、例えば、タルタルステーキや、グリル・バーベキュー、低温調理も肉の柔らかさを引き立てることができる。

そのほか、野菜と一緒に時間をかけて煮込むシチュー、火を通した牛肉をサラダの材料と混ぜ合わせるコールドサラダもおススメといえる。いずれにせよ、スペイン産牛肉には何百もの使い方やアレンジの方法があり、そのどれもが完璧だということだ。我々は、スペインと日本の双方の料理を組み合わせるのがベストな方法だと考える。

まずは、スペインと日本のフュージョン料理や日本の消費者に馴染みのある料理を提供しつつ、新たにスペイン料理も提案していく。とくに日本でプロモーションを行う際には、ミシュランで星を獲得したスペイン人シェフと一緒に訪問したい。そうすることで、スペイン流の牛肉の調理法を紹介することができ、日本市場にも牛肉の調理法の可能性を広げることができると期待している。

〈新たな牛肉供給地として有望視、北米・オセアニア産との生産システムの違いを明確に〉
6月21日から23日にかけて開かれたオンライン商談会では、スペインから香港や中東などへビーフやラムの輸出実績を持つ企業や、ハンバーガー用のパティ、ミートボール、ケバブなど業務用加工肉の加工メーカーが参加、日本からは輸入商社や外食事業者など約20社(事務局説明)が参加した。

今回の商談会に参加した関東の冷凍加工品などを扱う輸入商社は、「初めて日本市場へ参画する企業も多く、まずは顔を合わせてどのような商品があるものか、コスト的にはどのような状況なのか情報を得たかった」と参加の理由を説明する。そして、商談会で意見を交わすなかで、「あくまで個人的な意見」として、「EUのグレーディングシステムと北米のそれとは異なる部分もあるほか、トリミングについてもVL(ビジュアル・リーン)で案内されるため、今後、商談の際にはお互いに目線を合わせ、ミスリードにならないようにする必要がある」という。

それでも、「カットに関しては予想以上に細かく存在していることが分かった。クロッドなども非常に細かく、日本のお客のニーズに合致するアイテムも多いと予想される。新しい牛肉の供給地としての可能性を感じており、前向きに商談を進めていきたい」といったコメントが寄せられた。

〈畜産日報2021年8月11日付〉