近年、都内を中心に急速に店舗を増やしている「マルエツプチ」「まいばすけっと」など小型食品スーパーに、ちょっとした「上質ブーム」が到来し、輸入チーズの取り扱いが広がっている。欧州チーズは、日欧EPA交渉妥結により、19年春の協定発効以降、カマンベールやモッツァレラなどソフト系チーズが、低関税で日本に入ってくることで、本場のカマンベールなどが手に取りやすい価格帯に、身近になり、消費喚起が進む期待がある。小型スーパーでの露出拡大は、これに向けてのいい流れでもあり、日常の買い物に入り込むことができるこのチャンスを、着実な売り上げにつなげられれば、その上の上質な輸入チーズへ消費を広げるきっかけにできるのではないかと、チーズ業界の関心を集めている。

小型スーパーの中でも輸入チーズの広がりが顕著なのが、マルエツが展開する「マルエツプチ」。都心の買い物不便地域を中心に店舗展開しており、価格競争がない商圏であること、住民の所得も比較的高いこと、高齢化は進んでいるものの、少量でいいから良いものを食べたいという層が多いことが、出店する背景にある。このため「上質な商品やこだわり商品の開拓の拠点」(上田真社長)としており、上質チーズ、つまり輸入チーズを導入しやすい環境がここにある。

上質ブームのきっかけの一つは、東京都文京区内のある店舗で、オリーブオイルを買いに来たシニア女性が、価格が手頃な売れ筋商品のみの品揃えに対し、店員に「もう少し上質なものも扱ってほしい」と要望したこと。一般的に小型スーパーの品揃えは、限られた売場面積のため、定番品中心に絞り込みがちになるが、都心の小型店については、「上質な商品を実験的に導入すると、しっかり反応してくれる顧客の比率が高く、マルエツプチから導入を始めて、標準店にも扱いが広がった商品もある」(同)。

このほどオープンしたマルエツプチ谷中三丁目店(東京都台東区)は、カマンベールチーズ、ウォッシュチーズ、ブルーチーズ、リコッタチーズなど税抜559円の輸入チーズが約6品、698円が1品、このほかブリーやパルミジャーノ・レッジャーノなどのカットものも豊富にあり、輸入チーズ入門編がひと通りそろうといった売場になっている。店舗数の増加から、出荷する企業にとっては数年前より取引先としては大きな存在であり、一度入れば取り扱い物量も多く、期待の販売チャネルだ。

プチ上質ブームにのって、都心の単身者、シニア層、忙しい共働き世帯、車を持たないファミリー層などのトライアル購入を、日常使いのシーンを取り込み、都心の小型スーパーから輸入チーズ入門編を広げていくことができるか、注目されている。

〈食品産業新聞2017年12月18日付より〉