〈明治・雪印ともに風味とぬりやすさの課題を独自技術でクリア〉
家庭用マーガリン大手の明治と雪印メグミルクは、既存の家庭用マーガリン類のすべてを「部分水素添加油脂不使用」に3月刷新し、トランス脂肪酸量の低減を積極的に発信する。マーガリン市場はこの3年で約3割落ち込んでいるが、マーガリン類に対する消費者のネガティブイメージ、不安払しょくとなるだろうか。

トランス脂肪酸は、油脂の加工工程で生じるものと、牛などの反すう動物の乳や肉に含まれる天然由来のものの2タイプあり、米国食品医薬品局(FDA)が6月から食品への使用を規制するのは、油脂の加工工程で使う部分水素添加油脂。同油脂を不使用にすることで、風味やぬりやすさが損なわれること、またその他の固形油脂で補うと飽和脂肪酸が増え、コレステロール0の表示ができなくなる問題点があったが、明治、雪印ともに独自の乳化技術や油脂加工技術などで、新しいブレンド油脂や新規原料油脂を開発し、風味やぬりやすさの課題をクリアした。

〈消費者不安払しょくの課題を流通と共有、情報発信に注力―明治〉
マーガリン市場は、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が心臓疾患などのリスクを高めるとの報道以降、特に15年度から市場落ち込みに拍車がかかっている。

明治は、「消費者の不安払しょくという課題を、この数年、PB受託先のスーパーなど流通と共有しており、今回の『不使用』の取り組みは流通に強く後押ししてもらった。昨年11月発売の(バター・クリームチーズ・菜種油・塩の4つの素材だけで作られた)『スプレッタブル』の問い合わせ内容でも、部分水素添加油脂を使っているのかどうかの質問は非常に多く、既存商品に対する消費者の不安払しょくが早急に必要と判断した。(6月のアメリカでの規制開始前の)3月から、パッケージへロゴを付けて『不使用』を目立つよう表示し、情報発信に力を入れる」とした(加工食品営業本部乳食品営業部・三井基史部長)。

「部分水素添加油脂不使用への取り組みは、健康志向などを背景に、06年頃から開始しており、主力の『コーンソフト』で新ブレンド油脂への一部置き換えを進めるなど、トランス脂肪酸低減に努めてきた。この間風味が変わったなどの声が寄せられることもなく、この春は全商品を『不使用』に切り替え、マーガリン需要回復につなげていく」(明治・三井部長)。

そして「肝心なのは消費者への情報発信」(同)。これまで「足りなかった」とし、ホームページ上で留まっていた部分水素添加油脂不使用への取り組み、トランス脂肪酸に関する、研究に基づく正しい情報を分かりやすく、目に触れやすくするため、明治はマーガリン類全10商品のパッケージにロゴを付けて、店頭から『不使用』を発信、新聞などマス広告やHPなどWEBで発信力を強め、消費者の不安払しょくと理解へつなげていく。

「新ブレンド油脂にはパーム油などをブレンドしており、実はコストは結構上がっている。しかしこの2~3年で落ち込んだ市場を回復させるのが今は優先のため価格は据え置く」(同)。
3月からQRコード、6月から「部分水素添加油脂」の文言をパッケージ表示(雪印メグミルク)

3月からQRコード、6月から「部分水素添加油脂」の文言をパッケージ表示(雪印メグミルク)

〈3月からQRコードでHPに誘引、6月からは「不使用」を明記―雪印メグミルク〉
一方、雪印は2段階に分けて告知、3月からはパッケージ上のQRコードからホームページに誘引し、改良内容に加えマーガリンと健康に関する内容で安心感を訴求、6月からは部分水素添加油脂不使用の文言のパッケージ明記で対応する。

2月1日に開催した新商品発表会で、同社乳食品事業部の石川和男氏は「消費者が安心してマーガリンを使用できるように、全ての商品で部分水素添加油脂不使用に改良して、需要減に対応する。長年の製造技術を駆使して開発に着手した。独自の乳化技術、結晶化制御技術により、部分水素添加油脂不使用で、風味の良さや塗りやすさを維持した商品を開発した。また油脂加工技術、油脂配合技術により、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸の含有量低減化も実現し、一部商品ではコレステロールゼロ表示も維持することができた」と説明している。

 

メーカーの取り組みは分かった。消費者はどうか?――。日本人のトランス脂肪酸の摂取量は米国などと比べ比較的少ないとされているが、一度ついたネガティブなイメージの払しょくは食品ゆえに難しい。今回、家庭用の大手2社の取り組みで、マーガリンに不安を感じていた人たちからどこまで理解を得られるか、関心が集まる。

 

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