工房製チーズの頂点に「タカラのタカラ」/ジャパンチーズアワード2018

グランプリ受賞のチーズ工房タカラの齋藤さん(中央)とCPA会長の本間さん(左)
2018年の日本の工房製チーズの頂点に選ばれたのは、北海道・喜茂別町のチーズ工房タカラの熟成チーズ「タカラのタカラ」。10月21日都内で開催の「ジャパンチーズアワード2018」(CPA=チーズプロフェッショナル協会主催)で、全国からエントリーの80工房・団体238作品の中からグランプリを受賞、家族で営む牧場のミルクからチーズ作りにこだわり、6カ月以上熟成による凝縮された旨みとコク、香ばしいナッツのような熟成香、そのレベルの高さが高く評価された。

同アワードは、日本のナチュラルチーズ生産者、工房製チーズを応援し、生産者と消費者をつなぐプロジェクトとして2014年から2年に1度開催の表彰制度。3回目の今年は前回より15団体、50作品も多くのエントリーがあり、近年チーズ工房が各地で増えていること、またチーズ伝統国に負けない品質レベルの高さを示す格好となった。

来場者610人を前に挨拶した日本のチーズ生産者の会の高橋雄幸副会長(那須高原今牧場チーズ工房代表)は、日欧EPA、TPP11の発効で、国内280超のチーズ工房、このチーズが国際化の波にさらされるかつてない情勢にある中、品質にまだバラつきがあり生産量が少なく、一部経営にも課題がある工房製チーズを守り、品質安定、生産量拡大していくため、生産者の会を来年法人化することを報告。工房製チーズは数年前から海外のチーズコンクールで度々受賞、国際線ファーストクラスにも搭載され年々レベルが向上していることを強調し、「国の支援も受けながら安定生産、販路拡大できる環境を作り、ジャパンブランド品質をさらに高めていく」と意気込みを示した。

また来賓あいさつした農水省の吉川貴盛大臣が、国内のチーズ工房を支援することを強調し、塩分控えめな日本のチーズが健康意識の高い国で受け入れられるのでは、という思いと、「日欧EPA発効までに、チーズをはじめ国内の優れた乳製品をヨーロッパに輸出したい。近いうちに実現するだろう」との考えを示した。

なお、各部門賞は以下の通り。

▽フレッシュ プレーン部門=らくのうマザーズ阿蘇ミルク牧場(熊本)「フロマージュ ブラン リス」
▽フレッシュ バラエティ部門=プレスキル・フロマージュ(北海道)「プレスキル フロマージュ オイル漬け」
▽リコッタ プレーン部門=CHEESE STAND(東京都)「出来たてリコッタ」
▽リコッタ バラエティ部門=ナカシマファーム(佐賀)「ブラウンチーズ」
▽白カビ部門=アトリエ・ド・フロマージュ(長野)「ブリー」
▽ソフト 酸凝固(山羊乳)部門=三良坂フロマージュ(広島)「三次の鵜飼」
▽ソフト 酸凝固(山羊乳以外)部門=フロマージュ・デュ・テロワール(東京)「dôme」▽ウォッシュ部門=共働学舎 新得農場チーズ工房(北海道)「酒蔵」
▽パスタフィラータ モッツァレッラ部門=八丈島乳業株式会社(東京)「Mozzarella Dorata」
▽パスタフィラータ バラエティ部門=CHEESE STAND(東京)「東京ブッラータ」
▽パスタフィラータ 熟成部門=チーズ工房乳ぃーずの物語。(広島)「カチョカヴァロ」
▽青カビ部門=ニセコチーズ工房(北海道)「ブルーチーズ 二世古 空【ku:】」
▽非加熱圧搾 熟成4ヵ月未満部門=ボスケソ・チーズラボ(長野)「SHIRAKABA」
▽非加熱圧搾 熟成4ヵ月以上部門=チーズ工房那須の森(栃木)「森のチーズ」
▽非加熱圧搾 アディティブ部門=神津牧場(群馬)「神津下仁田ねぎ」
▽非加熱圧搾 ラクレットタイプ部門=チーズ工房タカラ(北海道)「タカラのトケル」
▽加熱圧搾 熟成6ヵ月未満部門=川瀬チーズ工房(北海道)「フリル」
▽加熱圧搾 熟成6ヵ月以上部門=チーズ工房タカラ(北海道)「タカラのタカラ」

〈食品産業新聞 2018年10月25日付より〉