欧州テーブルチーズに追い風 日欧EPAで関税撤廃のワインと組み合わせ提案

特に、ワインと相性の良いブリーチーズ・ブルーチーズとの組み合わせ提案に期待がかかる
「当社は量販店向けを扱っているため、アイテム数が多く日の目を見ない商品もあるが、だからといって伸びているものだけをやっていても、会社の将来性には疑問符がつく。日欧EPA発効でワインは即時関税が撤廃、チーズは段階的に下がるが、既に量販店バイヤーが欧州チーズに興味をもっていて、本場に行ってみたいという要望もある。来年は欧州ワインの盛り上がりと、EUのGI(地理的表示)チーズへの関心の高まりで、欧州チーズにいい風が吹いてくるのを期待し、戦略を考えていく」(東京デーリー)。

チーズは関税が段階的に引き下げられるが、原料チーズと小売り向けテーブルチーズ、また船便と空輸の違いで恩恵に差があり、昨年から始まった乳製品の動物検疫をはじめ輸入品に対する取り締まりがよりきつくなる中で、特に空輸のテーブルチーズについては大きな恩恵はあまり期待できないとされている。ただ、これまでチリワインに浸食されたシェア奪還の好機到来と意気込む欧州ワイン取扱業者が、小売とともに店頭で積極的に販促をしかけてくる流れが予想され、ワイン単体で訴求するより生ハムやオリーブの実、そして消費が伸び続けているチーズとの組み合わせを提案してくるのではないか、つまり欧州チーズに追い風となるのではないかとの期待はある。

早めに日本とEPAを結んだスイスは、関税が既に半分程度に下がっており、テレビのマツコ・デラックスさん出演番組を機に需要急増した「ラクレット」は日本への輸入量が急拡大、日本ではこれまで外食メニューの位置づけだったが、現在はスライスした家庭用製品が各ブランドから出揃い、業務用、家庭用ともに市場定着している。「一時的と思っていたラクレットブームが続いている。人気急上昇したブルーチーズと同様、消費は以前よりある程度上積みされて戻るのではないか」(専門商社)。大手加工食品メーカーのシチューのルーにも使用されるなど用途は格段に広がっており、ラクレットほどの大きなブームにはならずとも、関税引き下げに伴う欧州チーズの需要拡大チャンスに期待がかかる。今後、専門商社各社がどのように仕掛けてくるか注目だ。

〈食品産業新聞 2018年12月17日付より〉