台風15号被害 大規模停電で千葉県の乳業工場が停止、生乳廃棄や乳牛死亡、スーパーで地場産牛乳の品切れも

千葉県内のスーパーに貼り出された地場牛乳品切れの告知
〈停電で搾乳・集乳できず、断水もあり被害拡大〉
台風15号による千葉県を中心とした大規模停電で、千葉県内の酪農現場では搾乳ができず生乳を廃棄したり、自家発電機があっても乳業工場が稼働停止で出荷できず、扇風機を回せない牛舎で牛が死亡するなど被害が相次ぎ、製品の供給面でも千葉県内の一部スーパーで9月12日、地元乳業会社の牛乳が品切れするなど混乱が起きている。

千葉は関東地方の中でも酪農が盛んな地域で、2011年の東日本大震災を受けて自家発電機を購入した酪農家もいるが、牧場全体の電力を何日間も賄うだけの発電能力はなく、急きょ手搾りで搾乳していた酪農家も疲労し、この数日で限界がきている。電力の限界が近づいてきたことで、搾乳機械とバルククーラー(搾った乳を急速に冷却する装置)は動かせても糞尿処理まで回らない状況、また牛舎の扇風機まで動かせない牧場では暑さで牛が死亡する事態が発生、一部の牧場では断水にも見舞われるなど、酪農現場の被害は日に日に深刻さを増している。

乳業工場についても、12日午前10時の時点で「3~4工場(古谷乳業成田工場など)がまだ操業できていない状況」(日本乳業協会)で、クーラーステーションが停電で操業できず、また集乳でき製品が作れる段階まできても、電力が限界にきて最終的に製造できないなど、牛乳が生産できない状況が続いている。

9月は学校給食が再開し生乳の最需要期であるが、12日の時点では停電している地域の学校が休校になったり、工場が操業できず学乳(学校給食向けの牛乳)を作れないメーカーを、他メーカーが代替で製造し供給するなど、学乳が届かない状況の回避に努めている。ただ、地元メーカーのスーパー向け1L牛乳については、12日午前の時点で既に一部店舗で品切れ状態で、店頭に張り紙をして告知し、台風による停電被害が想定以上に大きく深刻であることを、消費者に説明している。

※9月12日17時30分;一部の学校で牛乳が届かない状況が発生していることを確認、一部記述を修正しました。