明治の市販用乳製品部門はこの春、国内唯一の「北海道十勝パルメザンチーズ」に、燻製香を付与したチーズ2品を発売し、独自性ある新しいチーズで市場活性化に取り組む。商品は「明治北海道十勝かおり濃香パルメザンチーズ粗砕きスモーク」と「明治北海道十勝かおり濃香パルメザンチーズうす削りスモーク」(3月1日発売)で、しっかりと燻製の香りがするおつまみ向けと、カルボナーラなど料理向け。十勝ブランドの市販用チーズはこれで計25品となり、2020年度同ブランド売り上げは前年比5%増を目指す。

「チーズ市場は好調に推移しているが、従来のような勢いに陰りが見え、市場を活性化するような新商品が必要。本当に価値のあるもの、独自価値の創出をして、消費者へ食べ物としての新しい提案をしていく」(童子秀己常務執行役員マーケティング本部長、2月3日専門紙との新商品発表会にて)。

独自のチーズは、6年前に誕生させた北海道十勝かおり濃香パルメザン(略称、十勝パルメザン)。このチーズを原料に用いたのが2014年発売の「スマートチーズ」で、原木をそのまま使用したものは、粗削りしスタンドパウチに詰めたおつまみ向けと、粉にして円筒容器に詰めた料理向けの2品を展開しており、この春は原木をサクラのチップで燻製した新商品2品を追加、「燻製香るパルメザンチーズ」という新たな食品を市場に導入していく。

そもそも長期熟成チーズを燻製するという発想は、チーズの歴史が長い欧州などではなく、日本独特、工場製品では明治が初の試みといえる。日本にある燻製チーズの代表格は、一粒ずつ個包装され袋状に入ったもので、この市場は2018年度で約40億円(2014年度比で18.7%増)、6Pチーズやベビーチーズ、さけるチーズ、カマンベールチーズなどのスモーク味の商品を合わせるとそれ以上の規模になるが、チーズ市場全体の中ではまだ一部に過ぎず、同社はここに市場性と独自価値を見出した。

燻製パルメザンの砕きたてをパックした「粗砕きスモーク」は、オリンピックのテレビ観戦の家飲み需要を取り込むべく、ターゲットは30~40代のおつまみチーズユーザー。昨年のラグビーワールドカップ観戦で、ビールが大量消費されたことも背景に、ビールのお供に同チーズを提案していく。30g、税別240円。

輸入チーズでも「オランダスモークが夏場はよく出るので、ビール消費が減ったとはいえ、ビール飲みには好まれるチーズ」(輸入商社)と言われており、ビールと燻製チーズの組み合わせは鉄板のようだ。

「うす削りスモーク」については、乾燥していない生タイプのしっとりやわらかい食感、燻製香、粉チーズ以上の食べ応えを生かすべく、パッケージで生野菜サラダやパスタなどのトッピング用途を明確にして、料理需要を取り込んでいく。30g、240円。粉・パルメザンチーズの市場は100億円超の大きな市場で、伸長が続いていることから、「間口(購入率)、奥行き(購入個数)共に拡大の余地ありとみている」(担当者)。

なお同社の燻製チーズで先行する「明治北海道十勝カマンベールチーズ燻製」(2019年10月発売)は、ブナのチップで低温短時間燻製しており、工場製品(量産型)で初の燻製カマンベールとして発売時、大きな話題となった。通常のカマンベールより50~100円高いものの40代以上の自分用おつまみの需要を取り込みつつあり、同社は燻製という価値を付与することに一定の手応えを得ている。昨今は、BBQ人気や燻製をコンセプトにした食品や飲食店の登場などで、燻製は昔より身近になっており、今回の「燻製パルメザン」がどの消費層に響くか手探りな所もありながら、発売以降の動向に注目だ。