▽(株)アイホー炊飯総合研究所・平田孝一所長=当社は業務用炊飯器などを取り扱う株式会社AIHOの子会社だ。米飯商品作りに合った炊飯試験を行い、測定や分析、評価などを主な業務としている。炊飯事業者の役割は、生産者が作った美味しい米をいかに美味しい炊飯米やおにぎりにするかだ。今回の講演で親会社のノウハウなどは紹介しないが、当社の米飯商品と大量炊飯のデータ分析の結果などを紹介し、皆さんの参考にしていただきたい。

かつては「玄米の顔を見て米を搗く」という時代があったが、玄米の白さを見て米を精米するのは当たり前だ。今や業務用米はブレンドが主流で、かつては太平洋側、日本海側それぞれで作った米をブレンドするというのが常識だった。今はそれでは駄目だ。注意するのは原料米と最終的な米飯商品との相性。一口に業務用と言っても、外食・中食のほかに給食用というのもあり、提供先に見合った設備も異なる。現在、業務用米は品質を重視した外硬内軟型の米が求められている。品質とは何か。必ずしも食味値が高いことではない。それは冷めても硬くならないということだ。では、冷めても硬くならない米にはどういうものがあるか。重要なポイントは千粒重と整粒率。中食・外食が使う米と言っても、それがどういう用途に適しているかは、千粒重と整粒率からある程度読み解ける。

実際に業務用品種を見ていこう。業務用に適していると言われる高温耐性品種は2011(平成23)年に約4.6万haあったが、それが2016(平成28)年では9.14万ha まで拡大してきている。その中でも、米飯商品と相性が良いとされているものには、きぬむすめ約1.5万ha、つや姫約1.4万ha、ふさこがね約8,300haなどがある。これらは白飯やおにぎりから、炊き込みご飯、丼ものなど何にでも向くとされている。玄米の千粒重を見ると、どれも22g以上と大粒の部類に属する。重ねて言うが、千粒重と整粒率が高いものほど業務用米に適しているのだ。これら既存の業務用米だけではなく、昨今は業務用に適した新品種というのも出てきている。例えば萌えみのり。これはヤマタネが契約栽培に取り組んでいる品種だ。他にも、えみのあきやあきだわらなどがあるが、共通するのは「直播向き」「多収」、もしくは「大粒」という点。業務用米がなかなか集まらないなか、仕入面で安いという優位性があるか、業務用適性に優れているため、これらの品種はそれだけ業務用途への関心が高まっている。特にあきだわらやえみのあきなどは大粒で、データを見ても米飯商品への適性が極めて高い。大粒であることが何故良いか。それは炊飯事業者が使っている炊飯器は家庭用の10倍以上の能力があり、火力が全然違うからだ。熱が入りやすいため、釜の中の粒数が少ない方が炊きやすい。私が何を言いたいかというと、炊飯事業者はこうした最終米飯商品のデータを基に原料米を選択すべきということだ。また、産地は単純な玄米のデータだけではなく、炊飯後のデータもセットで提供する必要がある。

実需別に説明しよう。当社が調べたところによると、中食向けの米は大粒で硬く、弾力性があるものが良い。こうした米はおにぎりのほか、酢飯や冷凍米飯に適している。また、外食向けは中粒から大粒で、粒感があり、粒離れと喉越しの良い米をお勧めする。そうした米は白飯やおにぎりに適しているが、あまり冷凍米飯には向いていない。そして給食用には中粒から小粒で軟らかい米がいいだろう。やはり温かい白飯だと大粒よりもやや中粒ぐらいのほうが良いのだ。

なるべく整粒率の高い精米を選ぶことで炊きムラが少なくなり、硬い米質の米を選ぶことで米粒が潰れたり引っ付くことを避けることができる。咀嚼したときの美味しさを考えると、硬さとコシ、付着するかどうかと粘りの4点を用途に合わせて重視し、データを取っていくことが必要だ。なお、29年産米は千粒重がやや小さく、整粒率も低く、水分含有率、蛋白含有率、アミロース含有率はやや高いというデータが当社の調べで出ている。そのため、今年は浸漬時間を長くするか、難しい場合は蒸らし時間を通常より長くし、ほぐしと盛り付けを従来よりきめ細かくやっていくことが重要だ。

〈米麦日報2017年11月2日付より〉