〈「急激に様変わりしている現代の食卓」を学ぶ〉
日米連(長谷部喜通理事長)は11日、都内で第26回お米マイスター全国ネットワーク会議を開催した。お米マイスター認定業者(米穀小売)の3年更新講習にあたる。例年通り「生産者交流会」(詳細後報)を併催したほか、今回は新潟県庁が「産地プレゼンテーション」を併催。またネットワーク会議本体では講習〈1〉として、富山・富富富、石川・ひゃくまん穀、福井・いちほまれの3産地(県庁)がそれぞれのオリジナル新品種をアピールした。講習〈2〉の要旨は以下の通り。

「現代家庭の食卓~まだ要るの? ご飯とみそ汁~」岩村暢子氏(大正大学客員教授、(株)キユーピー顧問)

〇・・・岩村氏は、1960(昭和35)年以降に生まれた人々が母親になっている家庭の食生活を20年以上にわたって調査してきた。その名も「食DRIVE」調査で、累計433世帯が対象。これに基づき、「現代の食卓」がどのような変貌を遂げているかを解説した。

〇・・・「お宅の朝食は、ご飯ですか? パンですか」というアンケート調査結果を今でも目にするが、信用してはいけない。例えば、あるご家庭では、「お祖父ちゃん用にご飯、旦那さん用に麺、自分用にスープ、息子さん用にパン、娘さん用にグラノーラ」と、バラバラなメニュー。統一して同じ物を食べることをしない、本人たちの好みをそのまま受け容れるからこうなる。実はこれが今の日本の食卓の主流。だから世帯単位で食事を訊くのは無意味。全く同じメニューを食べる人も減ってきているから、「ご飯か、パンか」訊くのも無効な設問。世帯ではなく「人」ベースで訊いても、かなり甘く中食・外食も含めて訊いても、白飯を食べるのは今や8人に1人。(家庭で)お米を切らせても誰も困らない。少子化云々といった単純な話ではない。

〇・・・昼食・夕食に台頭する米飯の新しい姿には、2つのパターンがある。第1に「主食重ね型」(ダブル、トリプル)。例えば、あるご家庭の食卓には、「たこ焼き、焼きそば、とうもろこし、おにぎり、素麺」が並ぶ。トリプルどころではない。主食ばかりが並ぶ。むしろこれが今の主流。第2に「丼型・ワンディッシュ型」。かつて「乗っけご飯」とか「乗っけ丼」と呼ばれた類のもの。かつ丼や天丼のように料理として確立されたものではなく(手がかかる)、「ご飯の上に○○を乗せる」だけ。自然と言葉も変わってくる。乗せるものは「具」ではなく「トッピング」。自然と箸ではなくスプーンを使うようになる。

〇・・・「一汁三菜」の減少は、そもそも言葉の意味を正確には知らない。煮豆などの常備菜がないので、「三菜」揃えようと思ったら最初から作ることになる。それは手間。食べる側の好みとしても「チマチマしたもの沢山ださないでヨ」となる。白いご飯「だけ」では料理したように見えないので、母親は「出したくない」し、家族は「嫌い」となる。

〇・・・仮にご飯は食べても味噌汁がない。ウーロン茶などの「冷たい飲料」で代替する。つまり「流し込み食べ」。昔は「酒は食前、茶は食後」で、食事中に冷たい飲料を飲むのは「行儀が悪い」行為だったが、それもなくなった。これは、「好きなものだけ」食べているから。一つのものを食べ終わったらリセット剤が必要で、そのための冷たい飲料。「口中調味」など昔の話。特に牛乳で流し込むことを学校給食で馴らされてしまっている。噛まずに冷たい飲料で流し込んで食べる。自然と「嫌いなもの」は堅いものになってしまう。今やお餅すらカップに入れたお湯と一緒にレンチンして食べる。

〇・・・この「好きなものだけ食べる」行動が味覚経験を減少させ、流し込みによって口中滞在時間を短縮させる。結果、いわゆる「味オンチ」が増加し、今や「味覚障害」が台頭するほど深刻な状況にある。米、白飯は、噛まないと本来の味が出ない食品。流し込みの増加によって、味がしない→嫌い、となる。一方で味噌汁は、リセット剤には向かない。熱いし、具が入っているから。今や味噌汁の競合商品はスープではない。冷たい飲料だ。

〇・・・白飯も、毎日は炊かない。そもそも茶碗に盛らない。かつて自分専用の飯茶碗があったが、今や誰でも使えるワンプレート。マナーも含めて、全てが急激に変化しつつあるのが、今の食卓だ。

〇・・・耳の痛い話だとは思うが、ご商売をする上で、今の家庭食が何を欲しているかの参考になれば。

〈米麦日報 2018年2月14日付より〉